片の富士コラム

Part2(2025(令和7)年版)

2025.3.23更新)

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<目次>

第61 やっぱり大の里優勝になってしまいましたね令和7年春場所総括2025.3.23

第60号 阿炎はやりにくいだろうなあ2025.3.22

第59号 久しぶりの琴錦(朝日山親方)の解説2025.3.19

第58号 高安は優勝できるのか?2025.3.18

第57号 序盤戦終了2025.3.13

第56号 令和7年春場所初日の感想2025.3.9

第55号 令和7年初場所総括2025.1.28

第54号 異例の対応2025.1.27

第53号 予想通りの展開2025.1.24

第52号 今後の展開を占う2025.1.23

第51号 今場所後の横綱はないですね2025.1.19

第50号 照ノ富士引退2025.1.17

第49号 今後の展開を予測する2025.1.16

第48号 豊昇龍の調子が良さそうに見えるが、、、2025.1.13

第47号 令和7年初場所スタート2025.1.12

61号(2025.3.23)やっぱり大の里の優勝になってしまいましたね(令和7年春場所総括)

 阿炎が非難されない程度の上手な相撲で負けて、予想通り決定戦になり、そして予想がはずれてほしいなと思っていた大の里がやっぱり決定戦で勝ち、優勝するという結果になりました。高安は優勝を意識するとガチガチになって終盤に負けると言われ続けて、今回もまたかと言われていますが、14日目の美ノ海戦は美ノ海が非常にうまく相撲を取りましたし、今日の決定戦も大の里に実力負けですので、高安が硬くなって実力を出せなかったからとかではないと思います。強いて言えば、大の里に勝って単独トップに立った翌日の11日目の霧島に負けたのがもったいなかったです。いずれにしろ一度くらいは高安に優勝させてやりたいものです。

 大の里は強いし横綱にも近いうちになるでしょうが、なんか応援する気にならない力士です。優勝インタビューも全然魅力的ではなかったです。プロなのですから、もっとファンの心をつかむような言葉や笑顔がほしいです。二所ノ関部屋は問題だらけなのに、元稀勢の里の二所ノ関親方や大の里を守るために、理事会が甘やかしているのも気に入りません。大の里はこのままではヒール横綱になってしまうでしょう。まあでも、好きな人もいるでしょうから、あまり批判的に書くのもよくないですね。自重します。

 千秋楽の三役そろい踏みに、安青錦が入ってくるとは驚きました。さらに力をつけている王鵬に真正面からぶつかりあって勝ってしまいました。13日目に大栄翔に勝っていたら、今日の優勝決定戦にも加わっていたことになります。5日目までで23敗だった時は、勝ち越せるかどうかだなと思ったのですが、私が思っていた以上に強いです。前に落ちないし、腕力もあります。立ち合いから一気に押す相撲ではないですが、押されることも前に落ちることもなく前に出続けますので、どの力士も取りにくそうです。三役定着、大関候補と言われる日も遠くないかもしれません。

 十両では新十両の草野が141敗の好成績で優勝しました。彼もすぐ幕内に上がってくるでしょう。最近は力のある若手が次々に出てきます。果たして誰が次の大関となっていくのか今は予想が難しいです。1年前に新入幕優勝した尊富士も相撲を覚えられ、立ち合いからのスピードを止められると、そこまでの体格ではないので、一気に大関へとは行かなそうです。1年後どんな番付になっているでしょうか。

60号(2025.3.22)阿炎はやりにくいだろうなあ

 高安が美ノ海に負け3敗になり、明日の千秋楽は大の里と高安が並んだ状態で迎えることになりました。4敗も何人かいますが、さすがに大の里と高安のどちらかが優勝するでしょう。大の里は琴桜とですが、これはほぼ大の里の勝ちで間違いないでしょう。高安は阿炎とですが、阿炎は今日負け越しが決まってしまったので、やりにくいだろうなと思います。今日勝って77敗だったら、明日はガチで行けばよかったわけですが、負け越してしまったので、明日の一番はどの程度の気持ちで向かったらいいか難しいだろうなと思います。本気で行ってもしも高安に勝ってしまったら、多くの相撲ファンががっかりするのは目に見えますし、かと言って安易に負けたら無気力ぶりを叩かれそうです。阿炎としてはそれなりに力を出した上で負けたという風に持っていきたいと思いますが、下手すると優勝を意識してガチガチになった高安がそのまま負けてしまうこともありそうです。まあ、なんとか阿炎が非難されない形で高安に勝ってもらいたいものです。

 で、2人とも勝てば決定戦です。そうなったら、たぶん大の里になるんじゃないかなという気がします。私も含めて多くの相撲ファンは高安初優勝を願っていますが、優勝を意識した高安は結局負けてしまうのではないかという気がします。この予想が外れることを祈りながら、明日の千秋楽を楽しみたいと思います。

59号(2025.3.19)久しぶりの琴錦(朝日山親方)の解説

 今日の向正面の解説は、元・琴錦の朝日山親方でした。審判部にいた時は解説ができなかったので、67年ぶりだったそうです。以前北の富士さんが元気だった時に、一番高く評価していたのが、この朝日山親方の解説でしたが、今日久しぶりに聞いて、さすがだなと思いました。声のトーン、流暢な話し方もありますが、何よりも相撲の技術解説に自信を持っており、通常の向正面の解説者は、正面席のアナウンサーや解説者から話を振らない限り喋らないのですが、朝日山親方は自分の方から分析的解説を語ります。その解説はなるほどなと思わせます。今回は、正面解説が舞の海でしたが、2人のやり取りはなかなか波長が合っていてよかったです。これから毎場所、最低2回くらいこのコンビでやってもらうのもいいなと思いました。朝日山親方は正面解説者もできると思うので、ぜひ呼んでほしいものです。

 さて、相撲の方ですが、高安が霧島に負けてしまいました。突っ張りで攻めていくといなされる可能性があるなと思っていましたが、案の定でした。これで2敗で大の里、高安、尊富士の3人が並びました。高安の優勝可能性は3割に落ちた気がします。明日、大の里と尊富士が闘いますので、どちらかが3敗になります。高安は過去30の王鵬が相手です。ここで負けるようではもう優勝はないでしょう。なんとか勝って2敗を守ってほしいものです。

58号(2025.3.18)高安は優勝できるのか?

 1敗同士の対戦で、高安が大の里を破り、単独トップに立ちました。横綱、大関をすべて破ったわけですから、実力No.1を証明したようなもので、普通に考えたらこのまま高安が優勝ということになってもいいのですが、過去何度も優勝がちらついて体が動かなくなり負けなくていい相手に負けてしまい、優勝を逃してきた高安ですから、まだまだ予断を許しません。今のところ、高安優勝の可能性は5割と私は見ています。明日勝てば6割、明後日も勝てば7割という感じでしょうか。ただ、こういう状況になった時に、高安が一番嫌な相手は動きの速い小兵力士だったりしますが、すでに翔猿や宇良との対戦は終わっており、今後当たる力士を予想すると、今場所はかなりチャンスが大きい気がします。明日は霧島で決まっていますが、たぶん今の霧島なら高安が勝つでしょう。残りの4番は、尊富士、阿炎、王鵬、若元春(あるいは金峰山)あたりでしょう。この中で一番高安が苦戦しそうなのは阿炎でしょうね。他の力士はしっかり立ち合いから当たっていけば突破できそうです。一度は優勝させてやりたい力士なので、ハラハラしながら見守りたいと思います。

 次に、豊昇龍が休場した件について。ひじの具合が良くないという理由でしたが、これまでの相撲を見ていたら、そこまでのケガではない気がします。むしろ、横綱らしい相撲が取れてないのでみっともないから逃げたということでしょう。でも、豊昇龍はまだ他の上位力士と比べて圧倒的な力を持っていないので、4敗程度で休場していたら今後も頻繁に休場しなくてはならなくなります。10勝以上は毎場所して、年に12回くらい優勝争いに顔を出す程度でいいよという感じで見守ってやらないとあっという間に引退しなくてはならなくなります。

 最後に、琴桜が5敗目を喫しました。残り5日で3勝は、できるかどうかぎりぎりですね。明日は王鵬、あと対戦が組まれそうなのは、大の里、大栄翔、宇良、尊富士、といったところでしょうか、3勝できるかなあ。微妙ですね。先場所からものすごく腰高になっていて、前に落ちるは反り返って押されるは、でいいところがありません。腰を落として前に出る相撲を思い出さないと大関陥落もありえます。

 さてさて、あと5日、どんな展開になるでしょうね。

57号(2025.3.13)序盤戦終了

 序盤戦が終了して、幕内には全勝力士がいなくなりました。上位力士の力の差は紙一重なので、しばらくは毎場所、こんな感じでしょうね。さて、そんな中であえて今後の展開を予想するなら、大の里が優勝候補の一番手かなと思います。対して相撲自体は進歩していませんが、あの体格と前に出る馬力はやはり強いです。相撲が甘いところがあるので、あと12敗はするかもしれませんが、12勝くらいはできそうです。対抗馬は一応豊昇龍にしておきます。なんとかあと1敗以内でまとめてほしいものです。琴桜は自信を無くしただけでなく、相撲も悪くなっています。もともと足が長く腰高の力士ですので、意識して腰を落とさないといけないのに、先場所、今場所とそれができていません。大の里も足が長い力士ですが、かなり意識して腰を落としています。琴桜も、もっと腰を落としてかつ前に出続けたら勝ち越しになんとか届くかなと思いますが、修正できなければ負け越しての大関陥落も十分ありそうです。

 三役、平幕はあまりこれといった変化がないですが、強いて言えば伯桜鵬が立ち合いの鋭さを思い出したようで、新入幕の頃の期待感が少し戻っているように見えます。期待の安青錦はここまで23敗です。やはり幕内力士はそれなりに強いです。今の彼の体格と技術だと粉場所は勝ち越しがギリギリかもしれません。まだ相撲界に入って1年半ですからね。技も体も成長過程です。もう少し長い目で見たいと思います。

56号(2025.3.9)令和7年春場所初日の感想

 春場所が始まりましたね。新横綱・豊昇龍の土俵入りは綺麗でした。照ノ富士は立派な横綱でしたが、土俵入りでも膝のサポーターを外せない土俵入りだったので、美しさという点ではどうしても不十分でした。しかし、豊昇龍はサポーターの一切ない土俵入りで綺麗でした。特に雲竜型は久しぶりなのでよかったです。

 横綱土俵入りの話はここまでとして、取組についてコメントしましょう。初日から早速、豊昇龍と琴桜が負けました。豊昇龍は圧倒的強さをまだ身に着けていない横綱ですが、横綱である限り立ち合いに変化はしないと言ってましたので、阿炎としては思い切り行けたでしょう。そうなると、ああいう展開になりますね。仕方がないところです。明日以降は、徐々に立ち直っていくのではないでしょうか。心配なのは琴桜ですね。勝たなければいけないと思い過ぎているのか、先場所と同様、強引なまでの前に出る相撲ができなくなっています。気持ちを変えないと危ないです。土俵際で逆転されてもいいから、前に出るんだという気持ちを取り戻せないと負け越しの可能性も出てきてしまいます。「関脇に落ちてもいいから思い切って相撲を取れ」と父親である佐渡ケ嶽親方がアドバイスをしてやらないと危ないです。他の力士はまだ初日ですから、どうなるかまだわかりません。

 取組以外のことで一言コメントしたいのは、初場所から春場所にかけて明らかになった相撲部屋での不祥事に関わっていた力士や部屋がまったく処分されずにそのまま出場できていることです。私は、相撲部屋に安易に現代のコンプライアンス基準を適用することには以前から疑問を持ってはいますが、白鵬の宮城野部屋をあんなに厳しく処分したのに、稀勢の里の二所ノ関部屋や日本人の力士には、こんなに甘い対応するのは疑問でなりません。こんなに不公平な対応はおかしいと思います。不公平を少しでも改善するために、今場所後には宮城野部屋を復活させるべきです。八角理事長の不公平対応はもっと批判されるべきです。

55号(2025.1.28)令和7年初場所総括

 今場所は結構書きたいことを場所中に書いてきたので、総括として改めて書くこともあまりないのですが、記録として一応書いておきます。豊昇龍の横綱が決まりました。少し甘めですが、仕方ないところでしょう。彼は気持ちが強いし、体ももともと持っていた柔軟さに加え力強さも増してきましたので、これからさらに強くなっていくことでしょう。横綱は毎場所優勝を目標にしないといけないので、大変だとは思いますが、そこそこやれるでしょう。琴桜の負け越しは先場所が終わった時点では誰も想像もできなかったことです。今場所は前に出る力が弱かったですね。すっかり自信を失っていた感じです。来場所、きちんと開き直って気持ちを変えられたらいいですが、自信喪失のまま場所を迎えたらまた負け越して大関陥落ということもありえなくはないです。霧島も綱取りを逃した後2場所連続負け越して大関陥落となってしまいましたので、琴桜も危ないです。もう一人の大関・大の里は、もう少しどっしりとした相撲を覚えないと横綱に近づけません。

 霧島は大負けすると思ったのに、逆に11勝もして三役復帰を決めました。でも、今の相撲は前に出て勝つ相撲ではなく、かわして勝つ相撲なので、このままではやはり大関に戻るのは難しいでしょう。金峰山戦で、あのいい形になりながら攻める手立てがないところに今の霧島の力が良く出ていたと思います。尊富士もスピードだけなので、体重も含めてもうひとつ何か身につけないと三役にはなれてもその上はなかなかすぐには難しそうです。それに比べると、王鵬、金峰山の方が早く出世するかもしれません。

 幕内下位では伯桜鵬が10勝をあげましたが、小兵力士という印象が強くなってきており、大関を目指せる力士ではない感じになってしまっています。十両では2場所目の安青錦が12勝し、来場所の新入幕を確実にしました。しかし、幕内下位の来場所は勝ち越せるでしょうが、いずれ幕内上位にまであがってきたら今のスピードと腕力だけでは勝てないでしょう。もっと体重を増やして相撲もいずれ大きくしたいものです。まあ12年はかかるでしょう。

 箱推ししている荒汐部屋は今場所はダメでした。三役の若元春、若隆景、十両の大青山、それに幕下の丹治も負け越しました。上の2人はともかく、大青山と丹治はもっと体を大きくして前に出る力をつけないと、なかなか上には行けそうにありません。まあこんなところでしょうか。来場所は、新横綱・豊昇龍が横綱らしい成績をあげられるかどうかが、とりあえず見どころですね。

 ああそれから、近いうちに宮城野部屋が伊勢ケ浜部屋から独立して復活するでしょう。7月で今の伊勢ケ浜親方が定年になり、その後を今場所引退した照ノ富士が継ぐのが規定路線となっているようですので、その下に先輩横綱だった白鵬の宮城野親方がいるというのは無理があるでしょう。まあもともと宮城野親方に対する異様に厳しい処置だったので、早く復活させた方がいいと思います。

54号(2025.1.27)異例の対応

 タイトルを見て、朝青龍が甘めの基準で横綱に推挙されそうな話かなと思った人が多いかもしれませんが、そうではありません。横綱不在を作りたくないという状況ですから、この程度の甘めの昇進は過去にもありました。じゃあ「異例の対応」とはなんのことかと思われるでしょうが、実は千秋楽の取組順のことです。相撲の取組順は、下位の力士から徐々に上位の力士の取組になるのがルールです。取り組む2人の力士のうち上位の力士の番付で順番が決まります。この取組順は絶対的ルールだと思っていたのですが、昨日の千秋楽ではそのルールが破られていました。それは、王鵬と金峰山の取組が本来のルールで置かれるべき取組順より5番も遅い位置にされていたことです。本来の位置は、幕内前半戦の9番目の取組のはずだったのに、番付順を無視して後半戦の3番目の取組として組まれていました。優勝のかかる一番でしたから、前半戦ではもったいないから後半戦の取組にしたのでしょうが、過去にこんな番付順を無視したことって、私の記憶の限りではなかったように思います。テレビ放送ではアナウンサーも解説者も一切その点に触れないので、一人でずっと首を傾げていました。どうでもいいようなことと思われるかもしれませんが、優勝がかかるような興味深い取組なら番付順を無視して配置していいなら、驚嘆な話「これより三役」の一番にしてもいいということになります。こんなこと気にする相撲ファンがどのくらいいるかわかりませんが、私は相撲協会の説明が欲しいなと思っています。

53号(2025.1.24)予想通りの展開

 本日13日目の取組結果は、昨日期待を込めて予想した通りになりました。そして、明日14日目の取組もほぼ当たりました。2敗で単独トップの金峰山は3敗で追う霧島と、同じく3敗の豊昇龍と尊富士が直接対決、やはり3敗の王鵬は隆の勝と、という取組に決まりました。明日の結果を、期待を込めて予想してみたいと思います。まず簡単な方から行くと、王鵬は勝って3敗を守るでしょう。今場所の王鵬なら隆の勝はそれほど怖い相手ではありません。金峰山と霧島は、金峰山のもろ手突きからの威力のある突きを霧島がうまくかわせるかどうかがポイントです。うまく跳ね上げて懐に入れたら霧島の勝ちですが、金峰山がパワーで勝負を決めることもありそうです。しかし、ここは期待を込めて霧島に勝ってほしいと思います。豊昇龍と尊富士は準々決勝です。負けた方が脱落し、勝った方が準決勝進出です。ここも五分五分という感じでどちらが勝ってもおかしくないですが、尊富士が勝った方が千秋楽は興味深くなります。というのは、順調にいけば、千秋楽は、霧島と尊富士、王鵬と金峰山という取組になるはずなので、もしも14日目に、霧島と尊富士が勝てば、4人の3敗力士がちょうど準決勝を行うような形になるからです。そして勝った2人が優勝決定戦という決勝戦を戦うことになり、おおいに盛り上がると思うからです。こんな美しい千秋楽はたぶん過去に一度もなかったと思うので、こういう形になることを期待したいのです。ちなみに、こうなった時の優勝力士が誰になるのか、まったく読めません。尊富士のスピードを霧島がかわせるかどうか、王鵬は金峰山と突き合って勝てるか、微妙です。豊昇龍を含めて、5人の実力差は非常に小さいですので、誰が優勝するか予想するのは難しいです。

豊昇龍も今場所後すぐには無理だとしても、123敗で優勝すれば、来場所は再び綱取り場所となります。しかし、4敗してしまったら、出直しになります。その意味では、明日の尊富士に負けるわけにはいかないはずです。気持ちの入った豊昇龍は強いので、豊昇龍が勝つ可能性も高いです。その場合は、優勝決定巴戦の可能性も大きくなります。いずれにしろ、どんな千秋楽を迎えるのか、非常に楽しみです。

52号(2025.1.23)今後の展開を占う

 12日目が終了して、金峰山が2敗になり、3敗に豊昇龍、霧島、王鵬、尊富士という非常に面白い展開になってきました。さすがに4敗までは落ちないと思うので、この中から優勝力士は出るでしょう。明日の13日目はこの5人がまったく直接対決をしません。明日は5人とも勝つ可能性があります。金峰山は琴桜とですが、琴桜は金峰山にとって突き押しのターゲットにしやすい相手です。琴桜は絶不調ですし、金峰山に分があると予測します。豊昇龍は大の里で難敵ですが、ここで豊昇龍に負けてもらったら面白くないので期待を込めて勝つと予想したいと思います。霧島は最初の3日間で今場所は大負けをするだろうと思ったのに、4日目から9連勝中です。動きの良さと力強さが戻ってきました。今の調子なら、明日の高安には問題なく勝つでしょう。王鵬は宇良。ここが一番厳しい気がします。宇良の動きに王鵬は攪乱されそうです。土がつくとしたら、王鵬かなと思います。でも、残り2日を面白くするためにはなんとか勝ってほしいものです。今日の大栄翔のような戦い方をすれば宇良は料理できるのですが、王鵬は大栄翔より大型なので、宇良の低さで飛び込まれそうな気がします。尊富士は阿炎ですので、ここも危ないですが、64で尊富士と期待したいと思います。

 明日の結果が出てから14日目の取組編成はされるでしょうから、14日目以降の展開を予想するのは厳しいのですが、この5人でまだ取組がないのは、金峰山は霧島と王鵬なので、この2人との取組が組まれるでしょう。霧島はあとは尊富士とやっていないので、その取組も組まれることでしょう。尊富士は豊昇龍や王鵬ともやっていません。14日目は豊昇龍と尊富士、霧島と金峰山、王鵬は豪ノ山か正代あたりでしょうか。千秋楽まで3敗を守っているのは豊昇龍と霧島、それに金峰山ではないかと思います。金峰山は今2敗ですが、14日目に当たるであろう霧島には負けそうな気がします。王鵬も残っていたら面白いですが、ちょっと難しそうな気がします。千秋楽は、豊昇龍は琴桜と、霧島は尊富士、金峰山は王鵬という取組になるのではないかと思います。3人とも勝って巴戦の優勝決定戦というのが見てみたいですが、そううまくは行かないかな。いずれにしろ、明日から3日間が楽しみです。

51号(2025.1.19)今場所後の横綱はないですね

 豊昇龍が正代に負けて2敗になってしまいました。作戦失敗とかではなく、ただただ正代が強かったです。大関に上がる頃の正代みたいでした。しいて言えば、今場所の豊昇龍は突っ張って前に出る力が強くなり、正代も弾き飛ばせると思ったのでしょうが、真正面からだけ攻めようとすると、正代はべらぼうに強い力士だったんだというところが、豊昇龍の計算違いだったのでしょう。まあでも正代が強かったので仕方ありません。それにしても、昨日全勝の王鵬に勝ち、これでこのまま乗っていくのではと思われた豊昇龍が2敗してしまったため、このままでは行かなくなりました。今後の対戦相手に豊昇龍がすべて勝てる確率は低い気がします。1〜2敗はしそうな気がします。万一1敗で止めて、123敗で優勝しても、横綱昇進は見送られると思うので、どうやら今場所後の横綱昇進はなくなったと見た方がよさそうです。

 優勝争いは、全勝が金峰山1人、1敗が千代翔馬と尊富士という平幕力士ばかりが上位にいますので、どうなるのか予想がつかないです。明日、金峰山と尊富士が直接対決しますが、この一番で勝った方は優勝争いに絡んでくる気がします。優勝経験を持つ尊富士有利と見る人が多いと思いますが、今場所の金峰山の突っ張りは馬鹿になりません。今日の玉鷲との勝負でも立ち合いは完全に金峰山が勝っていました。尊富士がスピードで優りふところには入れればもちろん尊富士のものですが、まともに金峰山の突っ張りを喰らったら、尊富士も飛ばされるかもしれません。いずれにしろ、優勝争いは3敗くらいまで落ちていく可能性が高いように思います。

 あと、昨日書けなかったのですが、昨日のNHKの大相撲放送では、北の富士さんを振り返るという特集をやっていました。永久保存版にしたかったです。快活で洒脱でダンディーな、本当に魅力的な人でした。分野が全然違いますが、あんな風に生きられたらなと思いました。

50号(2025.1.17)照ノ富士引退

 ついに照ノ富士が引退しました。ご苦労様でしたという感じですね。最近の横綱たちはそろそろ引退せよというような勧告を受けてしまう人が多かったですが、照ノ富士は休場が多いにもかかわらず、そういう勧告はされなかったし、ファンも暖かく見守っていた気がします。それは、彼が膝に大けがをして大関から序二段まで落ち、そこから復活し、膝や腰が痛いにもかかわらず、15日間出場すればほぼ毎回優勝するという実力を見せてくれることや、人間的にも立派だったからでしょう。怪我をする前、若くで大関になった時は、かなり生意気な力士で相撲っぷりも荒っぽい相撲でしたが、怪我をしてからどっしり構えて前に出る横綱相撲になりました。10回の優勝は立派です。引退会見を見ていても、この人はしっかり考えているなとわかります。きっとよい親方になるでしょう。

 話は変わりますが、昨日平幕5連勝力士の1人だった金峰山のことを書き忘れました。今日も勝って、王鵬、千代翔馬とともに6連勝でトップを走っています。金峰山もなかなか強いです。あの重い突っ張りは威力があります。尻の大きさからも足腰がしっかりしているのがわかります。首を痛めてもうひとつ成績が伸びない場所も多かったですが、素材としてはこの力士も幕内上位、三役の常連になってもおかしくないです。ただ、まだ突っ張りの回転が遅いので、機敏な力士には翻弄される可能性が高いです。このまま勝ち続けて上位と当てられるとさすがに負けが込んでいくとは思いますが、今場所はまあまあの成績は残すでしょう。

 王鵬への期待は日々増して来ています。顔や体形はおじいさんの大鵬にもよく似ているのですが、最近の相撲っぷりは激しい突き押しが得意だった父親の貴闘力によく似てきています。貴闘力よりよい体をしているので、大関以上も期待できるかもしれません。明日もしも豊昇龍を破るようなことがあれば、今場所の優勝候補と言われるでしょう。豊昇龍が勝てば、豊昇龍中心の優勝争いになりそうです。13勝以上で優勝したら、照ノ富士が引退したこともありますので、横綱昇進となりそうです。明日は今場所の行方を占う大一番となりそうです。

49号(2025.1.16)今後の展開を予測する

 5日目まで終了しましたね。琴桜は4敗で横綱どころか勝ち越しが危ぶまれる状況になりました。大の里も進歩のないスピードだけの相撲にこだわり、土俵際で逆転負けするという相撲の繰り返しです。あれだけの体格があるのですから、しっかりつかまえてから料理するという相撲を覚えないと、いつまで経っても横綱にはなれません。他方、豊昇龍は41敗でまあまあの成績ですが、今日の熱富士のような大型力士や立ち合いの鋭い突き押し相撲の力士とこれからたくさん当たるでしょうから、このまま1敗を守れる可能性は低い気がします。もしも優勝できても123敗なら横綱昇進は見送られるでしょう。

 今場所は誰が優勝するかまったくわかりません。平幕で5連勝中の王鵬、千代翔馬、玉鷲は、なかなか強いです。王鵬、玉鷲の馬力は本物です。千代翔馬は中途半端な相撲なのですが、今場所はいつも以上に思い切りが良く足腰がしっかりしているので、思い切った技が決まります。まあそうは言っても非常に甘い大雑把な相撲ですから、このまま勝ち続けることはないでしょう。玉鷲は過去2回優勝していますし可能性はないわけではないですが、さすがに40歳。中盤以降は馬力が落ち、負けることもあるでしょう。大化けがありうるとしたらやはり王鵬かもしれません。本当に強くなっています。

 大栄翔、阿炎、豪の山といった馬力のある突き押し相撲の力士たちも1敗で調子がいいです。彼らも上位を破りさらに波乱を引き起こす可能性は高いです。大栄翔と阿炎は優勝経験もある力士ですから、勝ち続けても不思議はないです。尊富士も1敗ですが、優勝した時ほどの強さはないですね。というか、他の力士が彼のスピードに慣れて、とりあえず最初の勢いを止めれば、そこまで怖くないと思って相撲を取っている感じです。それなりには勝つでしょうが、優勝争いまではどうでしょうか。

 ということで、今の時点であえて優勝争いをしそうな力士を予想するなら、豊昇龍、阿炎、王鵬の3人をあげておきます。特に、王鵬の大化けに期待してみたいと思います。

 ああそうそう。それと、元貴景勝の湊川親方の解説を初めて聞きましたが、実に丁寧な解説で、かつ力士に敬意を持った喋り方で驚きました。現役時代の相撲とインタビューの喋りは魅力がなく、まったく応援していませんでしたが、解説者としてはいいなと思いました。また解説を聞いてみたいと思いました。

48号(2025.1.13)豊昇龍の調子が良さそうに見えるが、、、

 まだ2日目が終わったばかりなのでなんとも言えませんが、豊昇龍の調子が良さそうに見えます。確かに動きがいいし、無理な投げに走らず前に出る力が増しており、先々場所までの豊昇龍とは違います。ただ、初日はすっかり弱くなってしまった霧島、今日も曲者ですが小兵力士の翔猿ですから対戦相手に恵まれています。もっと立ち合いからの馬力のある力士が相手でも圧倒できるかどうかが試金石です。明日も若隆景ですから、立ち合いから一気に持っていかれることはなく、豊昇龍としてはありがたい相手でしょう。でも、こうやって連勝を積み重ねていくと気持ちの強い力士ですから、そのまま乗っていきそうな気がします。他方、琴桜は今日負けてしまいましたが、1敗したことよりなんか自信がなさそうに見えるのが心配です。場所前の稽古でも、豊昇龍の調子が良く、琴桜は悪かったそうですが、そのまま本場所に引きずっている感じがします。場所後に、豊昇龍だけ横綱昇進ということもあるかもしれません。まあでも、大型力士や立ち合いに馬力のある力士と当たってからですね。

 それにしても、霧島は弱くなりました。立ち合いの当たりがまったくなくなり相手を押し込めなくなりました。今場所は大負けしそうです。過去2度幕内優勝をしたのが信じられないほどです。やはり、首や手首がかなり痛いのでしょうか。今のような相撲しか取れないなら、もう三役にすら戻れなさそうです。他方、強くなったなあと思うのは王鵬です。去年も何回か書きましたが、足腰がさらにどっしりしてきて威力のある突き押しができるようになりました。今年は三役に定着し、新たな大関候補と言われるようになるのではないかと思います。

 今場所の幕内上位は横綱まで含めて力の差は小さいので、どっちが勝っても不思議ではないという、見る側としては非常に面白い取組だらけです。あと13日楽しみたいと思います。

47号(2025.1.12)令和7年初場所スタート

 新しい年の初場所がスタートしましたね。本コラムも1年ごとにまとめることとし、本日から「片の富士コラムPart2」として書いていきます。

 今場所の展望は初日が終わっただけなので、まだなんとも言えません。力士以外のことを書いておきます。まず先場所からNHKの専属解説者になった琴風さんが初日の正面解説者になりました。これからはかつての北の富士さんと同じように途中で2日ほど、そして千秋楽の解説をするのでしょう。北の富士さんの鋭さはないですが、優しさに満ちた解説で心地よくは聞けます。ただ、北の富士さんのように昔話をされても、私は琴風さんより年上なので知っている話ばかりになりますが、まあこれは致し方ないですね。初日と千秋楽はタッグを組むであろう舞の海氏とのやり取りも穏やかで悪くはないですが、北の富士さんと舞の海氏のように異なる意見を出し合うという感じにならないのが残念です。

 あとは立行司がようやくきちんとした庄之助と伊之助になったのがよかったです。ダメダメ行司だった式守伊之助――最後に1場所だけ木村庄之助にさせてもらいましたが――が定年になり、まっとうな木村庄之助と式守伊之助になり、土俵が締まりました。

 とりあえず、今日のところはこんなところでしょうか。今場所は琴桜と豊昇龍の両大関の綱取りがかかる場所として注目を集めています。2人がある程度勝ち続けていけばさらに盛り上がるでしょう。気になる力士についてはおいおい書いていきたいと思います。