片の富士コラム

Part2(2025(令和7)年版)

2025.7.28更新)

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<目次>

第79号 秋場所予想番付と琴風の解説2025.7.28

第78号 令和7年名古屋場所総括というか来場所の予想をする2025.7.27

第77号 琴勝峰が単独トップ2025.7.26

第76号 大の里、疲れ切ってるなあ2025.7.25

第75号 玉鷲、すごいなあ2025.7.22

第74号 一山本がかわいい(笑)2025.7.21

第73号 前半戦終了2025.7.20

第72号 豊昇龍また休場2025.7.17

第71号 安青錦、強いなあ2025.7.15

第70号 令和7年名古屋場所スタート2025.7.13

第69号 令和7年名古屋場所番付発表に思うこと2025.6.30

第68号 相撲協会はずるい2025.6.10

第67号 不運な白鵬2025.6.3

第66号 令和7年夏場所総括というか、今後誰が伸びてくるのか2025.5.25

第65号 どっちが横綱なのか?2025.5.22

第64号 取組に直接関係ないけれど、、、2025.5.20

第63号 6日目終了2025.5.16

第62号 夏場所スタート2025.5.12

第61号 やっぱり大の里の優勝になってしまいましたね(令和7年春場所総括)2025.3.23

第60号 阿炎はやりにくいだろうなあ2025.3.22

第59号 久しぶりの琴錦(朝日山親方)の解説2025.3.19

第58号 高安は優勝できるのか?2025.3.18

第57号 序盤戦終了2025.3.13

第56号 令和7年春場所初日の感想2025.3.9

第55号 令和7年初場所総括2025.1.28

第54号 異例の対応2025.1.27

第53号 予想通りの展開2025.1.24

第52号 今後の展開を占う2025.1.23

第51号 今場所後の横綱はないですね2025.1.19

第50号 照ノ富士引退2025.1.17

第49号 今後の展開を予測する2025.1.16

第48号 豊昇龍の調子が良さそうに見えるが、、、2025.1.13

第47号 令和7年初場所スタート2025.1.12

79号(2025.7.28)秋場所予想番付と琴風の解説

 毎日楽しみに見ていた大相撲が終わってしまいましたので、このコラムもしばらくお休みになりますが、その前に来場所の番付予想を示しておきたいと思います。上位陣に関しては以前も作ったことがあったのですが、幕内最下位まで作ったのは初めてです。そんなにぴったりは当たらないと思いますが、どんな力士がどのあたりに来そうかを考え、どんな取組みができそうか考えるのは楽しいです。

ついでに、今場所の感想で書いていなかったことも追加で書いておきます。それは、NHKのレギュラー解説者となった琴風の解説がとてもよくなっていることです。特に、今場所はもともと自分が所属していた本家筋とも言える佐渡ケ嶽部屋の琴勝峰が好成績で優勝となりましたので、部屋でのエピソードなども語ることができる琴風の話は聞いていて面白かったです。序盤から、弟の琴栄峰が入幕したので、兄貴の琴勝峰も尻に火がついて頑張るのではと期待を込めて話していましたが、期待以上の活躍に、琴風自身が驚いていました。11日目の隆の勝を一気に寄り切った相撲を見ていた琴風は「こんな相撲を取る琴勝峰は初めて見た」と語っていました。私も同じ感想を持ちましたし、この一番から琴勝峰は「自分はやれる」と自信を持った気がします。

そして、北の富士が解説でいた時と同様に、初日と千秋楽は正面が琴風で向正面が舞の海というコンビでしたが、琴風は舞の海を立てるので、北の富士時代のような緊張感はなく聞いていられます。北の富士ファンとしてはちょっと物足りないところもありますが、これはこれで心地よく聞けていいような気もしてきました。琴風も柔らかい口調ながら、メリハリをつけて、伸びてきそうな力士と停滞している力士に対して異なるコメントの仕方をできるようになってきています。協会に所属している親方が正面解説をする際には余計なことは言わないでおこうという意識なのか、アナウンサーが話を振らないとあまり喋りません。琴風も尾車親方として協会に所属していた時代は、そんな感じの解説でした。協会を辞めてレギュラー解説者になった当初もまだ遠慮がちでしたが、今はかなりよくなりました。プロの解説者になってきた感じです。

琴風は私より若いので、北の富士のレベルには到達しませんが、昔話が増えてきていいなと思います。今の相撲と数十年前の相撲の違いを楽しく語ることは経験を積んだ解説者の大事な役割です。昨日も次の大関取りについて、「若隆景が来場所10勝して32勝なら当然上げるべきだ。自分は自慢じゃないけど、31勝で大関になっている」と話していました。ちなみに北の富士は29勝で大関に上がっており、このことをいつも舞の海に「なんか言いたいんだろ?」と言ってネタにしていたので、舞の海には上手に「北の富士さんは29勝でしたね」と放り込んでほしかったのですが、、、死者を貶めるみたいでいけないと思ったのでしょうか。たぶん、その話を出していたら、北の富士は喜んだと思いますが(笑)

78号(2025.7.27)令和7年名古屋場所総括というか来場所の予想をする

初日どころか終盤戦に入ってもないだろうと思っていた琴勝峰の優勝があっさり決まってしまいました。琴勝峰については昨日書いた通りです。安青錦が硬くなっていましたね。あんな風に前に落ちるなんていつもの安青錦ではなかったです。優勝を意識したのでしょうね。まあでも3場所連続11勝は素晴らしいです。来場所は三役です。審判部がわけのわからない番付を作らずに今場所小結にしていれば、大関への足掛かりの場所となったのですが。いずれにしろ、今後もさらに連続で2桁勝利を続けて来年前半には大関になっていそうです。ただし、今の彼の相撲では大関までは射止められますが、横綱の相撲ではないです。徐々に相撲ぶりが変わっていくのかどうかを楽しみにしたいと思います。

名古屋場所の総括と言っても、今場所は割とまめに感想を書いてきたので、もうこれ以上書くことはあまりないです。なので、来場所の展開を予想してみたいと思います。初日に書いたように若手の有力力士がみんな幕内に上がってきたのですが、その多くが今場所大勝ちしたので、来場所は幕内中盤以降の取組がすべて面白くなりそうです。とりあえず、来場所の目玉は若隆景の大関取りです。ぜひ10勝以上あげて大関になってほしいです。若隆景の実力ならかなり高い確率でそうなるのではと期待を込めて願っています。霧島は8勝止まりになってしまいましたので、大関取りは白紙に戻ってしまいました。実力のある若手がどんどん上がってきているので、いい体勢は作れても決め技にかける霧島が3場所連続で2桁以上をあげるのはどんどん難しくなっていきそうです。大関・琴桜も3場所連続の87敗ですが、今の彼の実力だと毎場所こんな感じでしょう。高安は小結で10勝したので、新たに大関昇進の起点を作りました。審判部の甘い裁定の結果、高安は小結に残れたので、ラッキーでした。本当なら、11勝した安青錦が大関昇進に向けての起点と言われていたはずです。三役で33勝ではなく、上位総当たりの番付である幕内上位の時の成績も含めて3場所33勝を基準とした方がすっきりします。高安個人の話に戻れば、彼は腰さえ痛まなければ横綱並みの実力があります。大関に戻ってほしいですが、また故障して休場ということになる可能性も消えないので、大関復帰は難しいかもしれません。安青錦、草野などが先に大関になっていきそうです。琴勝峰は来場所も大勝ちできるようなら、今場所から化けたと言われるでしょうが、どうかなあ。まだ今場所の優勝だけでは本当に地力がついたと言えるかどうかはまったくわかりません。

大の里と豊昇龍の横綱2人も来場所は横綱らしい成績をあげないとまずいですね。特に横綱3場所で2場所休場してしまった豊昇龍はある意味崖っぷちです。最低10勝はするというくらいの気持ちでハードルを下げ、前半に3敗くらいしても休まずに出続けてほしいものです。彼の体格だと前半戦に何敗かするのは仕方がないと思います。来場所も、また23敗して前半戦で休場に逃げるようなことをしたらそう遠くないうちに引退しないといけないといった状況に追い込まれそうです。稀勢の里の二の舞になります。

来場所の幕内上位には、伯桜鵬、王鵬、豪ノ山、平戸海、熱海富士といった若手有望力士が揃います。今場所大活躍だった琴勝峰、草野、藤ノ川などは幕内中位だと思いますが、草野あたりは勝ち進んで、また三役、幕内上位と当てられるのではないかと思います。若手ではないですが、玉鷲、阿炎、宇良なども三役、あるいは幕内上位に居て、面白い相撲を見せてくれることでしょう。来場所の希望番付としては、高安と安青錦を関脇にあげて4関脇にして、玉鷲と阿炎を小結にしてほしいなと思います。しかし、審判部は高安は関脇にしても、安青錦は小結に留め、阿炎が東の筆頭くらいでしょうね。ちなみに、すっかり影が薄くなった尊富士は、来場所は幕内下位ですね。やはり、彼の場合は故障がつきものになりそうです。いかにも怪我しやすそうな体をしているので、大関、横綱という大成はしないのではないかと思います。

将来を期待できる有望力士がほぼ幕内に上がってしまったので、今場所の十両はそれほど魅力的ではなかったですが、来場所は朝乃山が戻ってくるので、そこは楽しみです。でも、今場所も幕下で2つも負けましたので、十両に戻ってきても圧倒的な強さを発揮するということにはならなさそうです。それでも、頑張って幕内上位まで戻ってきて、早く若手有望力士と対戦してほしいものです。

77号(2025.7.26琴勝峰が単独トップ

 琴勝峰が単独トップになりましたね。連勝が続いて自信が出てきたようで持っている潜在力が全部出せていますね。11日目に隆の勝を一直線で押し出してからすっかりその気になりました。高安、大の里、霧島と次々に撃破してついに単独トップに立ちました。予想外ですが、潜在能力的には体格はいいし、運動神経も悪くないのですから、フロックで勝っているという感じでもないです。むしろ、なんで今までこういう相撲が取れなかったのかと疑問が湧くほどです。太腿や膝にきつくテーピングをしているのできっと痛い所はあるのでしょうが、こんなに勝ち続けると痛さなんか忘れて馬力が出るのでしょうね。明日は、いよいよ安青錦が相手ですが、もしも負けてもまだ決定戦に出られますので、精神的には琴勝峰はかなり楽でしょう。個人的には安青錦の逆転優勝を期待していますが、今日の草野と同じような相撲を琴勝峰が取ったら、体力的に分のない安青錦は厳しいかもしれません。今の琴勝峰を見ていると、なんか5年半前に徳勝龍が幕尻優勝をした時を思い出します。優勝がかかっている平幕力士が日頃出ないような力を神がかり的に出してしまう雰囲気が感じられます。

 安青錦の負けは仕方ないですね。草野はすでに三役並みの実力を持っている力士ですから、あれだけすばやく力強く動かれたら、やや軽量の安青錦は不利です。これからも草野との対戦は毎場所簡単ではないでしょう。草野は明日は高安です。今日の熱海富士との相撲を見ると、高安の腰は大丈夫そうですね。であれば、ちょうどよい壁です。実力は五分五分でしょう。安青錦対琴勝峰の一番後ですから、2人の対戦結果がどうなるかによって楽しみ方が違いますね。もしも安青錦が琴勝峰に勝ったなら、草野も高安に勝ってもらって、巴戦の優勝決定戦を見たいです。誰が勝ってもおかしくない面白い優勝決定戦が見られそうです。

76号(2025.7.25)大の里、疲れ切ってるなあ

 大の里、琴勝峰にあっさり負けてしまいました。昨日の一山本戦も一昨日の霧島戦も勝ったとはいえ、立ち合いから一気に持っていけなくなっています。立ち合いからの馬力が大の里の最大の武器なのに、それが出ないとなると、ただの腰高の大型力士になってしまいます。初めての横綱土俵入りもあり、かつ豊昇龍が休んでしまったので、一人横綱の重責も加わり、精神的にも体力的にも疲れ切っているんでしょうね。ちょっと同情の余地があります。

 琴勝峰は潜在力のある力士ですが、腰高で安定感がない力士なので、上位には勝てないだろうと思っていましたが、高安、大の里と破ってしまいました。まあでも、ともに馬力の大型力士なので、同じく大型で今場所は勢いがある琴勝峰にとってはやりやすい上位力士だったでしょう。明日は2敗同士で安青錦との対戦だろうと思っていたら、霧島になりました。霧島はこの4日間で13敗と調子を落としているので、勢いのある琴勝峰に分があるかもしれません。

 安青錦の明日は3敗の草野とです。たぶん安青錦が勝つと思いますが、万一草野が勝つと、下手をすると113敗で平幕4人が並ぶということもありえます。同じく3敗の熱海富士は高安とですが、ちょっと腰が痛くなっていそうな高安では壁になれないのではないかと思います。そうなったら千秋楽はどうするんですかねえ。琴勝峰と安青錦をぶつけたら、草野と熱海富士は同部屋なので対戦を組めません。誰とやらせるつもりでしょうか。

 審判部、おかしいです。本来なら、明日14日目に、安青錦と琴勝峰をぶつけておき、熱海富士と草野が3敗で残っていたら、千秋楽は安青錦と草野、琴勝峰に熱海富士というのがまっとうな対戦相手です。審判部、何を考えているのでしょうか。今場所の番付もおかしかったし、最近の審判部、まったくだめです。

75号(2025.7.22)玉鷲、すごいなあ

 玉鷲が大の里に勝ちました。2日前に、もしも大の里に勝つようなことがあったら、玉鷲の3回目の優勝もありえなくないと予想していたので、こうなると玉鷲優勝の可能性も何割か出てきましたね。まあないと思うのですが、、、一山本は今日も勝って単独トップを守りましたが、さすがに明日以降の実力者たちとの対戦では負け始めるのではないかと思います。でも、2年くらい前から一山本は前に出る力が増してだいぶ強くなってきたなと思っていましたが、今場所はしっかり実力を出せています。

 さて優勝争いですが、大の里が3敗になったので、私は安青錦が一番有力になったのではないかと思います。霧島はこれから関脇以上との戦いがありますので、全勝はやや難しいのではないかと思います。明日、大の里に勝ったらそのまま全部行けるかもしれませんが。それに比べると、安青錦はどの相手にも勝てそうです。相撲ぶりから言って、下位力士相手に不用意に負けたりはしないような気がします。2日前に書いたように、玉鷲、草野くらいですね、難敵は。

74号(2025.7.21)一山本がかわいい(笑)

 今日唯一勝ち越した一山本のインタビューがはきはきして実に可愛かったです(笑)解説者だった琴風さんは「まるで小学生が表彰式でインタビューを受けているみたい」と言ってましたが、まさにという感じでした。あのインタビューを見ていると性格の良いお相撲さんで、ファンになりますね。また、一山本のインタビューを見たいです。4人いた1敗力士で今日勝ったのは一山本だけです。最初に脱落するだろうと予想していましたが、とりあえず単独トップです。まあそれでもいずれ負けるだろうと思うので、優勝争いには残らないと思いますが、こっそり応援しようと思います。

 霧島は伯桜鵬に負けました。伯桜鵬は昨日、今日と、立ち合いから鋭い当たりで、その後も前に出続ける相撲になっており、この相撲を取り続けられるなら、大きく伸びます。小兵力士にも怖がらずにこの相撲を取れれば上を目指せます。今後の彼の相撲を注目したいと思います。

73号(2025.7.20)前半戦終了

 大の里がまたまともに引くという悪癖が出て2敗目を喫しました。あれだけの体とパワーがあるのだから、ちょっと立ち遅れて押されても踏ん張って押し返したらいいのにと思うのに、すぐ引いてしまいます。もう癖になっているんでしょうね。この癖を直さないと、彼は大横綱になれません。

 さて8日目を終わって、全勝はおらず1敗は、霧島、玉鷲、一山本、草野の4力士です。一山本はすぐに落ちていくでしょう。玉鷲もさすがにこのまま勝ち続けることはないのではと思いますが、幕内最高優勝を2回もしている力士ですから、大の里でも破ったら3回目もありえなくはないですね。霧島はかなりよい成績を残すでしょうが、大の里に勝てるかどうか。勝てたら優勝もありえなくはなく、そのまま今場所後に大関復帰ということもあるかもしれません。体はよく動いているようなので、今場所後は無理でも来場所は大関挑戦の場所になりそうです。気になるのは、草野です。新入幕力士ですが、すでに三役力士並みの実力を持っています。後、12勝したらどんどん上位に当てられるでしょうが、どの力士相手でも十分勝てる可能性を持っています。とりあえず、玉鷲、安青錦あたりとぶつけられるでしょう。安青錦もまだ2敗でもう自分より上位力士との対戦はすべて終わっていますから、この後すべて勝ってもおかしくありません。残っている相手で難敵は、やはり玉鷲、草野くらいでしょうか。優勝戦線に残りそうです。ということで、今場所の優勝は、霧島、玉鷲、草野に、大の里、安青錦、それに高安の6人から出るだろうと予測しておきます。

72号(2025.7.17)豊昇龍また休場

3日連続で金星を与えた豊昇龍が先々場所に続いてまた休場してしまいました。怪我をしていることを理由にしていますが、昨日までの相撲を見る限り、相撲を取るのに支障があるほどの怪我をしているとは思えませんでした。要は、3連敗したので、横綱としてのメンツから休場を選択したのでしょう。しかし、こんなことを繰り返していたら、そう遠くないうちに引退しろという声が上がってきそうです。豊昇龍はまだ若いのに横綱は降格がないので、こんな成績を続けていたら引退に追い込まれてしまいます。そんなことになったらもったいなさすぎます。先場所も4日目まで22敗でしたが、その後101敗で123敗という横綱としてそこそこの成績は残せました。今場所も続けて出ていたら10勝くらいは十分できたのではないかと思います。場所前の稽古では好調だったと聞いていました。確か先々場所もそうだった気がします。今の豊昇龍の相撲ぶり――立ち合いから相手をぐっと抑えきることができない――では、毎場所序盤戦で23敗すると思います。それでも出続けるという選択をしないと、本当に引退になってしまいます。師匠の立浪親方の肝が据わっていないので心配です。

71号(2025.7.15)安青錦、強いなあ

 安青錦が豊昇龍を破り金星をあげました。昨日の大の里には馬力で圧倒されましたが、大の里ほどの体格のない豊昇龍の立ち合いなら十分受け止めることができ、自分の形に持ち込んで渡し込みで勝ちました。豊昇龍相手にこんな相撲が取れるなら、この後も白星を重ねていくのは間違いありません。二桁は間違いなく勝つでしょうし、もう横綱、大関戦も終わりましたので、もしかしたら優勝戦線にも絡んでくるかもしれません。この後、安青錦との対戦が予想される力士で安青錦が絶対勝てそうもないという相手はいません。どの力士とも五分五分以上の勝負ができるのではないでしょうか。今後の安青錦の活躍が一段と楽しみになってきました。

70号(2025.7.13)令和7年名古屋場所スタート

 名古屋場所が始まりましたね。今場所の幕内の相撲はこれまで以上に面白そうです。ここ12年前から伸びてくるなと思った若手力士がほぼみんな幕内に上がってきたので、幕内下位の相撲から興味深いです。新入幕の草野と藤ノ川は今日対戦しましたが、いい相撲でした、2人とも今場所、かなり活躍するでしょう。もう一人の新入幕力士である琴栄峰は相撲自体はまだ全然ですが、四股が綺麗です。足を高く上げ3秒ほど静止します。なかなか見られない四股なのでぜひ見てみてください。幕内中位から上位には今後伸びていきそうな若手が集結している感じで、どの取り組みも力が入ります。この中から誰が抜け出してくるか、今場所はひとつの試金石になりそうです。

 先場所三役で2桁勝ち、今場所を大関取りの足場固めにしたい霧島と若隆景はともに良い相撲を取りました。先々場所前頭筆頭で9勝、先場所小結で12勝あげた若隆景はもしも今場所も12勝できたら一気に大関に上げたらいいと思います。個人的には11勝でも上げてあげたいですが、11勝だとちょっと厳しいでしょうね。霧島は先場所千秋楽で高安に負けて11勝に留まったのが痛かったです。先々場所は小結でしたが8勝ですから、今場所後の大関昇進はまずないでしょう。万一13勝か14勝できたら検討の余地はありますが、さすがにそこまでの成績は難しいでしょう。しかし、大関陥落前後の不調からは立ち直って力強さが戻ってきましたので、いずれ大関復帰という可能性は十分出てきました。

 2人の大関昇進が特に期待されるのは、琴桜がすっかり弱くなってしまって、今のままでは近いうちに大関陥落というのが現実味を帯びてきたからです。昨年年間最多勝を取った力士だというのが信じられないほど弱くなりました。立ち合いがまったく駄目です。今年に入ってずっと駄目で全然改善されません。今勢いのある若手力士がどんどん出てきていますので、2場所連続負け越しをして下手をしたら今年中に大関陥落が決まってしまうかもしれません。体がどこか非常に悪くなっているように見えないので、気持ちの問題のような気がするのですが、今日の安青錦との相撲を見ても、改善は簡単ではなさそうです。

 横綱陣は、豊昇龍が良さそうです。体もかなり大きくなってきて、立ち合いの威力が増しました。今日の馬力ある高安相手でも立ち合いから圧倒するムードが立つ前から伝わってきました。横綱という地位にも少し慣れ、特に今場所は新横綱・大の里に注目がいっている分、気持ちも楽に取れるのでしょう。ただし、すべての力士を圧倒できるほどのパワーではないので、全勝とかは難しいでしょう。12,13勝はできるとは思いますが。大の里は、今日は緊張していた感じでしたが、相撲は横綱相撲でした。まあ、相手が同じ日体大の先輩の欧勝馬でどういう相撲を取るかがよくわかっていたので、新横綱の初日としてはありがたい相手だったでしょう。明日の安青錦の方がやっかいです。立ち合いから一気に持っていければ問題ないですが、食いつかれると番狂わせもありそうです。まあでも、あの体格と馬力がありますから、トータルでは大の里も確実に12,13勝はするでしょう。ということで、優勝争いは両横綱を中心に、実質的に大関の実力を持つ霧島、若隆景の両関脇が絡むというのが、今場所の理想的な展開かなと思います。

69号(2025.6.30令和7年名古屋場所番付発表に思うこと

 本日、令和7年名古屋場所番付が発表されましたが、先場所、東小結で69敗だった高安が平幕に落ちずに、西小結に回るだけという異例の措置がなされました。69敗の小結が平幕に落ちなかったのは、初めてのケースです。多くの人が安青錦が西小結に上がるだろうと予想していたのですが、東筆頭に留めおかれました。確かに安青錦も平幕9枚目で114敗でしたから、小結までとなると、かなりラッキーな昇進ですが、過去にもこの程度の大幅アップはありました。これまでの慣例で行けば、安青錦が小結、高安が東筆頭でしょう。なんで、こんな番付になったのか、理解できません。大の里の兄貴分的役割を果たしていたことでも評価されたのかなとうがった見方までしたくなります。

新入幕力士の番付でも、ちょっと奇妙なことが起きています。先場所十両西筆頭で132敗だった草野と西5枚目で123敗だった若碇改め藤ノ川が平幕14枚目で東西に並びましたが、上がった枚数でみると草野はわずか4.5枚、藤ノ川は8枚です。どう考えてもおかしいです。草野の昇進が非常に抑え込まれた感じです。また、四股名を変えるだろうと思っていた草野が変えず、若碇が伊勢ノ海部屋の伝統の四股名である藤ノ川を継いだのも予想外でした。草野は本来白鵬のお弟子さんだったので、○○富士に今場所から変更するのはまたいろいろ言われるだろうからやめたのかなと思ってしまいます。まあいずれ変えるのでしょうが、今場所はとりあえず見送ったということでしょう。それにしても、今場所の番付を見ると、相変わらず相撲協会は二所ノ関、大の里系に甘く、白鵬系に厳しいという対応が残っているのではないかと思えてきます。

68号(2025.6.10)相撲協会はずるい

 昨日の白鵬の会見で、先週協会側が強調していた「九州場所後に宮城野部屋を再興させると伝えたのに、宮城野親方が翻意しなかった」という話が、実は夏場所後半になって急に伝えられた話だということがばれてしまいました。元白鵬の宮城野親方は今年の3月頃までは、宮城野部屋の再興を信じて待っていたのでしょうが、何らそういう話が出ず、5月場所後には照ノ富士が伊勢ケ浜部屋を継ぐことがほぼ確定している中で、もうこれ以上は待てないと思い、相撲協会を退職することを心に決めたわけです。

 協会としては自分たちが何も対応しなかったがゆえに、宮城野親方は退職せざるをえなくなったのだと世論に批判されることを怖れて、もう退職の意志が固まっていた時点で、宮城野部屋再興を提案したのに、本人が断ったという形は作ったのです。あまりにずる過ぎます。本来なら3月場所後くらいには遅くとも再興の提案をすべきだったのに、あえてせずに退職の意向を固めさせてから、言い訳のために再興を提案したわけです。ずるい、汚いやり方です。伊勢ケ浜親方も、3月頃から、宮城野親方が稽古場で熱心に指導しなくなったということをわざわざ言いましたが、それはもう退職するしかないと宮城野親方が思ってからのことでしょう。まるで、本人のやる気がなくなっていたので、宮城野部屋再興の話も出なかったのだと言わんばかりです。

 そんな中での元白鵬の記者会見でしたが、気持ちを抑制して、協会にも喧嘩を売らず、立派な会見でした。これから世界に相撲を広める活動したいということで、応援したいとは思いますが、たぶん難しいだろうなと思います。まあでも、しばらくは見守りたいと思います。

67号(2025.6.3)不運な白鵬

 昨日の理事会で、白鵬の退職が認められました。ほぼ追い出されたようなものです。今年の九州場所後に宮城野部屋の再興を認めると伝えていたそうですが、もう待てないという気持ちになっていたようです。協会も中途半端にあと半年待たせるのではなく、伊勢ケ浜親方の定年のこのタイミングで、なんで部屋再興を認めてやらなかったのでしょうか。結局、八角理事長は白鵬を追い出したかったんでしょうね。残念ですが、もう仕方ありません。

 それにしても、白鵬はついていないです。本当なら、今日のテレビは白鵬に関する特集が組まれるはずだったのに、長嶋茂雄氏が本日早朝に亡くなったため、白鵬に関する報道はまったくなくなってしまいました。部屋の閉鎖、協会からの退職、さらにはそのニュースが小さい扱いになってしまう。なんか引退後の白鵬はついていません。

66号(2025.5.25)令和7年夏場所総括というか、今後誰が伸びてくるのか

 大の里の全勝優勝で終わるかと思った夏場所ですが、豊昇龍が横綱の意地を見せて大の里に土をつけ、大の里時代には簡単にはさせないぞという矜持をみせた感じですね。ただ、相撲っぷりから言うと、豊昇龍は毎場所、何番かは危ない相撲にならざるをえず、23敗くらいはいつもしそうな気がします。他方、大の里の相撲は安定感があり、毎場所12敗以内にまとめてきそうですので、やはり大の里が有利だろうと思います。最近7場所で4場所も優勝した大の里ですが、これからも16場所の半分の3場所以上は優勝しそうです。

 その大の里時代に食い込んでくるのは誰かですが、来場所から大関が、すっかり弱くなってしまいいつ大関陥落してもおかしくない琴桜1人ですから、協会としては喉から手が出るくらい、まずは次の大関が欲しいところでしょう。実績と実力があるのは今場所いずれも二桁勝った大栄翔、霧島、若隆景の3人ですが、大関になるための3場所33勝の壁はなかなか高いです。強いて言えば、一番手は若隆景でしょうか。怪我した膝が悪化しないなら、相撲が一番安定しています。大栄翔も三役でずっと勝ち越しを続けていて十分大関並みの活躍をしていますが、3場所33勝が厳しいですよね。大関がぜひ欲しいなら30勝くらいでも上げてあげてもいいのではないかと思うのですが、、、霧島も今場所は力強さが戻りましたが、相撲ぶりから言ってパワーのある力士になかなか勝てないのが辛いところです。まあとりあえず、来場所も3人には二桁勝利をしてもらって、9月場所で大関を2人同時に決めるくらいになってほしいものです。

 平幕に目をやると、今回期待されていたのに思いがけず負け越したのが、王鵬と尊富士です。王鵬は3日目まで連勝で今場所は先々場所のように大活躍かと思わせたのが、その後7連敗して崩れてしまいました。しかし、後半5日間を41敗とし、来場所以降再度活躍してくれるのではという期待感を持たせてはくれました。他方、尊富士は上位に勝てず、まだ力がないということが立証されてしまいました。昨年優勝した時も、そんなに強いのかなあと疑問でしたが、やはり立ち合いのスピードに相手力士が慣れてしまうと、パワー不足なので勝てなくなります。立ち合いのスピードに加え、何かプラスαがないと三役定着、大関候補という声はかからないでしょう。

 幕内中位には有望株がいろいろいますが、予想以上の伸びを示しているのが安青錦です。2場所連続の11勝です。素晴らしいです。今場所は上位にも当てられ負けはしましたが、一方的な負けではなく善戦しました。来場所は上位総当たりの地位まで上がるでしょうが、勝ち越すことも十分考えられます。三役から大関候補に、という話もすぐに出てくるかもしれません。体はすごく大きいわけではないですが、体幹がしっかりしていて、頭を下げているのに前に落ちないし、力が強いうえに、小技も出せます。1年後には有力な大関候補になっていそうな気がします。

 伯桜鵬は結局81敗から6連敗で8勝止まりに終わりました。若いのに上手いと感じさせる力士ですが、大化けする感じはないですね。相撲が小さくまとまっている感じがします。欧勝馬、阿武剋、金峰山はいずれも10勝しました。欧勝馬はバランスの良い体格をしています。もっと前に出る力がついたら大関候補にもなりえますが、今はまだ相撲が受け身なので、来場所はたぶん新小結だと思いますが、勝ち越しは難しいでしょう。阿武剋もいい体をしていますが、相撲が遅いです。来場所は上位総当たりの地位まで上がり、跳ね返されるのではないかと思います。ただし、彼も前に出るスピードがついたら、三役に上がれる器です。金峰山は先々場所に優勝決定戦に進んだ実績もあるように、あの突きは重く威力があります。相手をよく見てあの重い突きを回転よく安定的に繰り出せるようになったら、三役はもちろん大関も視野に入ってきます。

 2場所連続十両優勝をして、来場所は新入幕が確実な草野もすぐに幕内上位に上がってくるでしょう。体はものすごく大きいわけではないですが、運動神経が非常に良さそうで強くなりそうです。本来は白鵬の宮城野部屋に入門予定だったのが、宮城野部屋がなくなって今は伊勢ケ浜部屋所属です。たぶん来場所から四股名を本名の草野から変えると思いますが、伊勢ケ浜部屋伝統の○○富士になるのか、白鵬の弟子という意味を持つ〇鵬になるのか、ちょっと興味深いです。伊勢ケ浜部屋に力士が集まり過ぎている気がしますし、もういい加減宮城野部屋を再興させてあげたらと思うのですが、八角執行部はまだ許さないんですかねえ?実に不公平な対応です。白鵬の宮城野親方は相撲界を離れるという噂もありますが、可哀想です。あれだけ相撲界に貢献したのに、石もて追うとは。協会を引っ掻き回した貴乃花がやめていったのは自業自得ですが、白鵬の罪は弟子の管理不行き届けだけです。現役時代最後の頃のパフォーマンスもいろいろ言われましたが、私は全然悪印象はありませんでした。罰が重すぎます。他の部屋の不祥事もこの1年くらいたくさん報道されているのに、全然処分されません。おかしな判断です。相撲は好きですが、こういう不当なことがまかり通るのは納得が行きません。理事会、もっとちゃんとしなさいと言いたいです。

 最後はちょっと話が横道にずれてしまいましたが、とにかく今は有望力士が次々に現れ、面白い時代です。また7月の名古屋場所を楽しみにしたいと思います。

65号(2025.5.22)どっちが横綱なのか?

 今日の豊昇龍は弱かったですね。霧島の力が戻っているとはいえ、四つに組まれて上手投げで簡単に投げ飛ばされました。完全に実力負けです。34日目の負け方はやむを得ないところもありましたが、今日の負け方を見ていると、やはり豊昇龍の横綱は早かったのではと言いたくなります。他方で、大の里は12連勝。もう横綱当確です。立ち合いの強さとまともに引く相撲を取らなくなりましたので、この相撲を続けるなら、これからしばらくは大の里時代です。豊昇龍の今の実力ではとうていライバルにはなれません。期待されていた王鵬も尊富士も今場所は負け越しました。単に負け越したという以上に、まだ実力が足りないなと思わされる相撲ばかりでした。大の里のライバルになれる力士が出てきてほしいものです。

64号(2025.5.20)取組に直接関係ないけれど、、、

 今日は相撲の取組や今後の展望とは関係ないことをちょっと書きたいと思います。というのも、ここ数場所、なんかなあと気になっていることがあるからです。

 ひとつは鳴門部屋の力士のしこ名です。幕内に欧勝馬がいて、十両に欧勝海がいて、幕下上位に欧勝竜がいます。最近は多くの部屋が、所属力士に共通の漢字を入れて、同じ部屋の力士ということを強調したがりますが、「欧勝」という2文字は多すぎます。特に、欧勝馬と欧勝海は、3文字目の音も似ていて、実に聞き取りにくいです。

 この部屋の親方は、ブルガリア出身の元大関・琴欧洲ですが、「琴」は佐渡ケ嶽部屋が使うので、それ以外の文字でということで選んだのでしょうが、「欧」だけにするならまだしも「欧勝」まで揃えてしまうので、区別がつきづらいです。こんなしこ名をつけると、ファンに名前も覚えてもらいにくいのでやめた方がいいのですが、誰かよいアドバイザーはいないのでしょうか。ちなみに、欧勝竜より下の鳴門部屋所属力士は、まだ本名の力士も多いですが、とりあえず「欧勝」で始まる力士がいないので、鳴門親方もちょっと方針を変えたのかもしれません。「欧」1文字入っている力士が2名、「洲」が1名います。どうせ自分のしこ名から1文字残すなら「洲」の方がいいです。「欧」の字は、日本人やモンゴル人の力士には合いません。ブルガリアの後輩とかが来たらつければいいのです。

 もうひとつなんかなあと思うのは、元関脇・嘉風の中村親方を、NHKが妙に鋭い解説をする人のように扱っている点です。私は、彼の解説は全然鋭いとは思えません。活舌はよく聞き取りやすいですが、中身はなんかいつもポイントがずれている感じです。現役時代に体が大きくないのに上位をしばしば破る活躍をしたので、勝手に技能派力士で、鋭い頭脳も持っていると思い込みすぎている気がします。解説者として呼ぶなとまでは言いませんが、もう少しちゃんと見極めてほしいなと思います。指導者としても、弟子の嘉陽とか友風の相撲は、半端相撲で全く魅力的ではありません。解説者としても指導者としても2流以下だと私は思います。

63号(2025.5.166日目終了

 今場所はなんか中途半端なタイミングで更新していますね。すみません。つぎまたいつ書けるかわからないので、とりあえず本日の6日目まで終了したところで思うところを書いておきます。優勝は、8割の確率で大の里ですね。今場所は立ち合いで先手を取られても決して引かず、一気に押し返していますので、安定感があります。あの体格ですから、かなりの突進力でもしっかり受け止められます。前に出られたら、あのパワーとスピードはもう誰も止められません。このまま優勝し、横綱になるのでしょう。

 他に6連勝は、伯桜鵬ですね。伊勢ケ浜部屋で稽古する相手がたくさんいるので、力をつけてきました。白鵬が宮城野部屋再興を認められたら、宮城野部屋所属になるのでしょうが、伊勢ケ浜にそのままいた方が強くなりそうです。まあでも体格も小さめでだし、圧倒的なパワーがあるわけではないので、優勝争いというほどには勝ち続けられないと思います。10勝くらいは十分できるだろうと思いますが。1敗力士で面白いのは、安青錦です。頭を上げずかつ前に落ちないし力も強いです。この調子で勝ち続けたら、上位にどんどん当てられるでしょうが、簡単に負けない気がします。どんどん勝ち進んで実力のある上位力士と戦ってほしいです。

 あと1敗力士で調子がいいなと思うのは、若隆景ですね。まだ大の里とやっていないので、この取組は楽しみです。まあパワーで一気に持っていかれるかもしれませんが。大栄翔は今日負けて1敗になりました。13勝すれば3場所合計で33勝になり大関もあるのではと言われていますが、今の大栄翔の実力で13勝は厳しいと思います。11勝くらいならできると思いますが、合計31勝では挙げてもらえないでしょうね。個人的には、11勝でもあげてやりたいのですが。2敗ですが今場所の霧島は強さが戻ってきました。大関最後のあたりから、前に出る力が弱くなって引き技を多用して負けが混んでいましたが、今場所は前に出る力が戻っています。二桁勝てるのではないでしょうか。

 豊昇龍は2連敗後、2連勝となんとか戻してきました。ただ、王鵬や阿炎に負けたような負け方は、今後もありえなくはないです。まわしを取りに行く相撲を磨いた方がいいのではないかと思います。尊富士はやはりスピードだけですね。パワーが足りないので、出足からのスピードが止められると普通の力士になってしまいます。まあとりあえずこんなところでしょうか。

62号(2025.5.12)夏場所スタート

 数少ないとはいえ同好の士が、夏場所始まったのにコラムが更新されないなあと、昨日はがっかりさせてしまったかもしれませんね。昨日はちょっと忙しかったので、すみません。ということで、2日目の今日からコラム再開です。今場所の一般的な注目は、大の里の綱取りですが、大の里をあまり応援する気になれない私は、まあどっちでもいいやという感じで見ています。でも、幕内中盤以降の取組はどれも興味深く、面白いなと思いながら見ています。幕内上位だけでなく、中位くらいまで力のある若手がかなり多く上がってきて、これからしばらくはこうした力士たちの出世競争で楽しめるなあと思っています。

 豊昇龍、琴桜、大栄翔、霧島、若隆景、若元春、阿炎あたりでも本当はまだベテランとまでは言えませんが、ここ12年の間に急速に力をつけてきた若手が出てきているので、相対的にベテランのようなイメージになるほど、若手が出てきています。先頭はやはり大の里ですが、まあ彼に関してはみんな注目しているからいいでしょう。2番手は王鵬ですね。本当に強くなりました。3番手は尊富士でしょうか。次いで、金峰山、伯桜鵬、阿武剋、安青錦が強くなってきました。尊富士、金峰山、安青錦、伯桜鵬については以前書いたことがあります。その時書いたことと少し評価が変わってきたのは、伯桜鵬ですね。一時は前に出る力がなくなり、遠藤のような、技が上手いだけの力士で終わるのかなと思っていましたが、先場所あたりから前に出る力をかなりつけてきました。まだまだ爆発的な力ではないですが、この調子で行けば、少しずつ強くなりそうです。同じように阿武剋も入幕してからしばらく前に前に出る力が弱く魅力がなかったですが、幕内の相撲に慣れてきたのか、少しずつ圧力を出せるようになってきました。体格がいいですし、四つ相撲の形がある程度できていますから、馬力がもっとついたら大関候補になれます。誰が今後抜け出してくるのか楽しみです。

 若手ではないですが、宇良、翔猿もずっと幕内上位にいて面白い相撲を見せてくれますし、玉鷲、高安もいます。平戸海、豪ノ山もまだ若手に入れていい力士ですが、力があります。魅力的な力士がたくさんいて、幕内中盤以降の相撲はどれも好取組ばかりです。優勝予想はまだ全然できませんが、実力から言えば、やはり豊昇龍と大の里を軸に展開されるのではという可能性が一番高そうです。力の伸びてきた若手力士と実力者たちのぶつかり合いで今場所は楽しめそうです。

61号(2025.3.23)やっぱり大の里の優勝になってしまいましたね(令和7年春場所総括)

 阿炎が非難されない程度の上手な相撲で負けて、予想通り決定戦になり、そして予想がはずれてほしいなと思っていた大の里がやっぱり決定戦で勝ち、優勝するという結果になりました。高安は優勝を意識するとガチガチになって終盤に負けると言われ続けて、今回もまたかと言われていますが、14日目の美ノ海戦は美ノ海が非常にうまく相撲を取りましたし、今日の決定戦も大の里に実力負けですので、高安が硬くなって実力を出せなかったからとかではないと思います。強いて言えば、大の里に勝って単独トップに立った翌日の11日目の霧島に負けたのがもったいなかったです。いずれにしろ一度くらいは高安に優勝させてやりたいものです。

 大の里は強いし横綱にも近いうちになるでしょうが、なんか応援する気にならない力士です。優勝インタビューも全然魅力的ではなかったです。プロなのですから、もっとファンの心をつかむような言葉や笑顔がほしいです。二所ノ関部屋は問題だらけなのに、元稀勢の里の二所ノ関親方や大の里を守るために、理事会が甘やかしているのも気に入りません。大の里はこのままではヒール横綱になってしまうでしょう。まあでも、好きな人もいるでしょうから、あまり批判的に書くのもよくないですね。自重します。

 千秋楽の三役そろい踏みに、安青錦が入ってくるとは驚きました。さらに力をつけている王鵬に真正面からぶつかりあって勝ってしまいました。13日目に大栄翔に勝っていたら、今日の優勝決定戦にも加わっていたことになります。5日目までで23敗だった時は、勝ち越せるかどうかだなと思ったのですが、私が思っていた以上に強いです。前に落ちないし、腕力もあります。立ち合いから一気に押す相撲ではないですが、押されることも前に落ちることもなく前に出続けますので、どの力士も取りにくそうです。三役定着、大関候補と言われる日も遠くないかもしれません。

 十両では新十両の草野が141敗の好成績で優勝しました。彼もすぐ幕内に上がってくるでしょう。最近は力のある若手が次々に出てきます。果たして誰が次の大関となっていくのか今は予想が難しいです。1年前に新入幕優勝した尊富士も相撲を覚えられ、立ち合いからのスピードを止められると、そこまでの体格ではないので、一気に大関へとは行かなそうです。1年後どんな番付になっているでしょうか。

60号(2025.3.22)阿炎はやりにくいだろうなあ

 高安が美ノ海に負け3敗になり、明日の千秋楽は大の里と高安が並んだ状態で迎えることになりました。4敗も何人かいますが、さすがに大の里と高安のどちらかが優勝するでしょう。大の里は琴桜とですが、これはほぼ大の里の勝ちで間違いないでしょう。高安は阿炎とですが、阿炎は今日負け越しが決まってしまったので、やりにくいだろうなと思います。今日勝って77敗だったら、明日はガチで行けばよかったわけですが、負け越してしまったので、明日の一番はどの程度の気持ちで向かったらいいか難しいだろうなと思います。本気で行ってもしも高安に勝ってしまったら、多くの相撲ファンががっかりするのは目に見えますし、かと言って安易に負けたら無気力ぶりを叩かれそうです。阿炎としてはそれなりに力を出した上で負けたという風に持っていきたいと思いますが、下手すると優勝を意識してガチガチになった高安がそのまま負けてしまうこともありそうです。まあ、なんとか阿炎が非難されない形で高安に勝ってもらいたいものです。

 で、2人とも勝てば決定戦です。そうなったら、たぶん大の里になるんじゃないかなという気がします。私も含めて多くの相撲ファンは高安初優勝を願っていますが、優勝を意識した高安は結局負けてしまうのではないかという気がします。この予想が外れることを祈りながら、明日の千秋楽を楽しみたいと思います。

59号(2025.3.19)久しぶりの琴錦(朝日山親方)の解説

 今日の向正面の解説は、元・琴錦の朝日山親方でした。審判部にいた時は解説ができなかったので、67年ぶりだったそうです。以前北の富士さんが元気だった時に、一番高く評価していたのが、この朝日山親方の解説でしたが、今日久しぶりに聞いて、さすがだなと思いました。声のトーン、流暢な話し方もありますが、何よりも相撲の技術解説に自信を持っており、通常の向正面の解説者は、正面席のアナウンサーや解説者から話を振らない限り喋らないのですが、朝日山親方は自分の方から分析的解説を語ります。その解説はなるほどなと思わせます。今回は、正面解説が舞の海でしたが、2人のやり取りはなかなか波長が合っていてよかったです。これから毎場所、最低2回くらいこのコンビでやってもらうのもいいなと思いました。朝日山親方は正面解説者もできると思うので、ぜひ呼んでほしいものです。

 さて、相撲の方ですが、高安が霧島に負けてしまいました。突っ張りで攻めていくといなされる可能性があるなと思っていましたが、案の定でした。これで2敗で大の里、高安、尊富士の3人が並びました。高安の優勝可能性は3割に落ちた気がします。明日、大の里と尊富士が闘いますので、どちらかが3敗になります。高安は過去30の王鵬が相手です。ここで負けるようではもう優勝はないでしょう。なんとか勝って2敗を守ってほしいものです。

58号(2025.3.18)高安は優勝できるのか?

 1敗同士の対戦で、高安が大の里を破り、単独トップに立ちました。横綱、大関をすべて破ったわけですから、実力No.1を証明したようなもので、普通に考えたらこのまま高安が優勝ということになってもいいのですが、過去何度も優勝がちらついて体が動かなくなり負けなくていい相手に負けてしまい、優勝を逃してきた高安ですから、まだまだ予断を許しません。今のところ、高安優勝の可能性は5割と私は見ています。明日勝てば6割、明後日も勝てば7割という感じでしょうか。ただ、こういう状況になった時に、高安が一番嫌な相手は動きの速い小兵力士だったりしますが、すでに翔猿や宇良との対戦は終わっており、今後当たる力士を予想すると、今場所はかなりチャンスが大きい気がします。明日は霧島で決まっていますが、たぶん今の霧島なら高安が勝つでしょう。残りの4番は、尊富士、阿炎、王鵬、若元春(あるいは金峰山)あたりでしょう。この中で一番高安が苦戦しそうなのは阿炎でしょうね。他の力士はしっかり立ち合いから当たっていけば突破できそうです。一度は優勝させてやりたい力士なので、ハラハラしながら見守りたいと思います。

 次に、豊昇龍が休場した件について。ひじの具合が良くないという理由でしたが、これまでの相撲を見ていたら、そこまでのケガではない気がします。むしろ、横綱らしい相撲が取れてないのでみっともないから逃げたということでしょう。でも、豊昇龍はまだ他の上位力士と比べて圧倒的な力を持っていないので、4敗程度で休場していたら今後も頻繁に休場しなくてはならなくなります。10勝以上は毎場所して、年に12回くらい優勝争いに顔を出す程度でいいよという感じで見守ってやらないとあっという間に引退しなくてはならなくなります。

 最後に、琴桜が5敗目を喫しました。残り5日で3勝は、できるかどうかぎりぎりですね。明日は王鵬、あと対戦が組まれそうなのは、大の里、大栄翔、宇良、尊富士、といったところでしょうか、3勝できるかなあ。微妙ですね。先場所からものすごく腰高になっていて、前に落ちるは反り返って押されるは、でいいところがありません。腰を落として前に出る相撲を思い出さないと大関陥落もありえます。

 さてさて、あと5日、どんな展開になるでしょうね。

57号(2025.3.13)序盤戦終了

 序盤戦が終了して、幕内には全勝力士がいなくなりました。上位力士の力の差は紙一重なので、しばらくは毎場所、こんな感じでしょうね。さて、そんな中であえて今後の展開を予想するなら、大の里が優勝候補の一番手かなと思います。対して相撲自体は進歩していませんが、あの体格と前に出る馬力はやはり強いです。相撲が甘いところがあるので、あと12敗はするかもしれませんが、12勝くらいはできそうです。対抗馬は一応豊昇龍にしておきます。なんとかあと1敗以内でまとめてほしいものです。琴桜は自信を無くしただけでなく、相撲も悪くなっています。もともと足が長く腰高の力士ですので、意識して腰を落とさないといけないのに、先場所、今場所とそれができていません。大の里も足が長い力士ですが、かなり意識して腰を落としています。琴桜も、もっと腰を落としてかつ前に出続けたら勝ち越しになんとか届くかなと思いますが、修正できなければ負け越しての大関陥落も十分ありそうです。

 三役、平幕はあまりこれといった変化がないですが、強いて言えば伯桜鵬が立ち合いの鋭さを思い出したようで、新入幕の頃の期待感が少し戻っているように見えます。期待の安青錦はここまで23敗です。やはり幕内力士はそれなりに強いです。今の彼の体格と技術だと粉場所は勝ち越しがギリギリかもしれません。まだ相撲界に入って1年半ですからね。技も体も成長過程です。もう少し長い目で見たいと思います。

56号(2025.3.9)令和7年春場所初日の感想

 春場所が始まりましたね。新横綱・豊昇龍の土俵入りは綺麗でした。照ノ富士は立派な横綱でしたが、土俵入りでも膝のサポーターを外せない土俵入りだったので、美しさという点ではどうしても不十分でした。しかし、豊昇龍はサポーターの一切ない土俵入りで綺麗でした。特に雲竜型は久しぶりなのでよかったです。

 横綱土俵入りの話はここまでとして、取組についてコメントしましょう。初日から早速、豊昇龍と琴桜が負けました。豊昇龍は圧倒的強さをまだ身に着けていない横綱ですが、横綱である限り立ち合いに変化はしないと言ってましたので、阿炎としては思い切り行けたでしょう。そうなると、ああいう展開になりますね。仕方がないところです。明日以降は、徐々に立ち直っていくのではないでしょうか。心配なのは琴桜ですね。勝たなければいけないと思い過ぎているのか、先場所と同様、強引なまでの前に出る相撲ができなくなっています。気持ちを変えないと危ないです。土俵際で逆転されてもいいから、前に出るんだという気持ちを取り戻せないと負け越しの可能性も出てきてしまいます。「関脇に落ちてもいいから思い切って相撲を取れ」と父親である佐渡ケ嶽親方がアドバイスをしてやらないと危ないです。他の力士はまだ初日ですから、どうなるかまだわかりません。

 取組以外のことで一言コメントしたいのは、初場所から春場所にかけて明らかになった相撲部屋での不祥事に関わっていた力士や部屋がまったく処分されずにそのまま出場できていることです。私は、相撲部屋に安易に現代のコンプライアンス基準を適用することには以前から疑問を持ってはいますが、白鵬の宮城野部屋をあんなに厳しく処分したのに、稀勢の里の二所ノ関部屋や日本人の力士には、こんなに甘い対応するのは疑問でなりません。こんなに不公平な対応はおかしいと思います。不公平を少しでも改善するために、今場所後には宮城野部屋を復活させるべきです。八角理事長の不公平対応はもっと批判されるべきです。

55号(2025.1.28)令和7年初場所総括

 今場所は結構書きたいことを場所中に書いてきたので、総括として改めて書くこともあまりないのですが、記録として一応書いておきます。豊昇龍の横綱が決まりました。少し甘めですが、仕方ないところでしょう。彼は気持ちが強いし、体ももともと持っていた柔軟さに加え力強さも増してきましたので、これからさらに強くなっていくことでしょう。横綱は毎場所優勝を目標にしないといけないので、大変だとは思いますが、そこそこやれるでしょう。琴桜の負け越しは先場所が終わった時点では誰も想像もできなかったことです。今場所は前に出る力が弱かったですね。すっかり自信を失っていた感じです。来場所、きちんと開き直って気持ちを変えられたらいいですが、自信喪失のまま場所を迎えたらまた負け越して大関陥落ということもありえなくはないです。霧島も綱取りを逃した後2場所連続負け越して大関陥落となってしまいましたので、琴桜も危ないです。もう一人の大関・大の里は、もう少しどっしりとした相撲を覚えないと横綱に近づけません。

 霧島は大負けすると思ったのに、逆に11勝もして三役復帰を決めました。でも、今の相撲は前に出て勝つ相撲ではなく、かわして勝つ相撲なので、このままではやはり大関に戻るのは難しいでしょう。金峰山戦で、あのいい形になりながら攻める手立てがないところに今の霧島の力が良く出ていたと思います。尊富士もスピードだけなので、体重も含めてもうひとつ何か身につけないと三役にはなれてもその上はなかなかすぐには難しそうです。それに比べると、王鵬、金峰山の方が早く出世するかもしれません。

 幕内下位では伯桜鵬が10勝をあげましたが、小兵力士という印象が強くなってきており、大関を目指せる力士ではない感じになってしまっています。十両では2場所目の安青錦が12勝し、来場所の新入幕を確実にしました。しかし、幕内下位の来場所は勝ち越せるでしょうが、いずれ幕内上位にまであがってきたら今のスピードと腕力だけでは勝てないでしょう。もっと体重を増やして相撲もいずれ大きくしたいものです。まあ12年はかかるでしょう。

 箱推ししている荒汐部屋は今場所はダメでした。三役の若元春、若隆景、十両の大青山、それに幕下の丹治も負け越しました。上の2人はともかく、大青山と丹治はもっと体を大きくして前に出る力をつけないと、なかなか上には行けそうにありません。まあこんなところでしょうか。来場所は、新横綱・豊昇龍が横綱らしい成績をあげられるかどうかが、とりあえず見どころですね。

 ああそれから、近いうちに宮城野部屋が伊勢ケ浜部屋から独立して復活するでしょう。7月で今の伊勢ケ浜親方が定年になり、その後を今場所引退した照ノ富士が継ぐのが規定路線となっているようですので、その下に先輩横綱だった白鵬の宮城野親方がいるというのは無理があるでしょう。まあもともと宮城野親方に対する異様に厳しい処置だったので、早く復活させた方がいいと思います。

54号(2025.1.27)異例の対応

 タイトルを見て、朝青龍が甘めの基準で横綱に推挙されそうな話かなと思った人が多いかもしれませんが、そうではありません。横綱不在を作りたくないという状況ですから、この程度の甘めの昇進は過去にもありました。じゃあ「異例の対応」とはなんのことかと思われるでしょうが、実は千秋楽の取組順のことです。相撲の取組順は、下位の力士から徐々に上位の力士の取組になるのがルールです。取り組む2人の力士のうち上位の力士の番付で順番が決まります。この取組順は絶対的ルールだと思っていたのですが、昨日の千秋楽ではそのルールが破られていました。それは、王鵬と金峰山の取組が本来のルールで置かれるべき取組順より5番も遅い位置にされていたことです。本来の位置は、幕内前半戦の9番目の取組のはずだったのに、番付順を無視して後半戦の3番目の取組として組まれていました。優勝のかかる一番でしたから、前半戦ではもったいないから後半戦の取組にしたのでしょうが、過去にこんな番付順を無視したことって、私の記憶の限りではなかったように思います。テレビ放送ではアナウンサーも解説者も一切その点に触れないので、一人でずっと首を傾げていました。どうでもいいようなことと思われるかもしれませんが、優勝がかかるような興味深い取組なら番付順を無視して配置していいなら、驚嘆な話「これより三役」の一番にしてもいいということになります。こんなこと気にする相撲ファンがどのくらいいるかわかりませんが、私は相撲協会の説明が欲しいなと思っています。

53号(2025.1.24)予想通りの展開

 本日13日目の取組結果は、昨日期待を込めて予想した通りになりました。そして、明日14日目の取組もほぼ当たりました。2敗で単独トップの金峰山は3敗で追う霧島と、同じく3敗の豊昇龍と尊富士が直接対決、やはり3敗の王鵬は隆の勝と、という取組に決まりました。明日の結果を、期待を込めて予想してみたいと思います。まず簡単な方から行くと、王鵬は勝って3敗を守るでしょう。今場所の王鵬なら隆の勝はそれほど怖い相手ではありません。金峰山と霧島は、金峰山のもろ手突きからの威力のある突きを霧島がうまくかわせるかどうかがポイントです。うまく跳ね上げて懐に入れたら霧島の勝ちですが、金峰山がパワーで勝負を決めることもありそうです。しかし、ここは期待を込めて霧島に勝ってほしいと思います。豊昇龍と尊富士は準々決勝です。負けた方が脱落し、勝った方が準決勝進出です。ここも五分五分という感じでどちらが勝ってもおかしくないですが、尊富士が勝った方が千秋楽は興味深くなります。というのは、順調にいけば、千秋楽は、霧島と尊富士、王鵬と金峰山という取組になるはずなので、もしも14日目に、霧島と尊富士が勝てば、4人の3敗力士がちょうど準決勝を行うような形になるからです。そして勝った2人が優勝決定戦という決勝戦を戦うことになり、おおいに盛り上がると思うからです。こんな美しい千秋楽はたぶん過去に一度もなかったと思うので、こういう形になることを期待したいのです。ちなみに、こうなった時の優勝力士が誰になるのか、まったく読めません。尊富士のスピードを霧島がかわせるかどうか、王鵬は金峰山と突き合って勝てるか、微妙です。豊昇龍を含めて、5人の実力差は非常に小さいですので、誰が優勝するか予想するのは難しいです。

豊昇龍も今場所後すぐには無理だとしても、123敗で優勝すれば、来場所は再び綱取り場所となります。しかし、4敗してしまったら、出直しになります。その意味では、明日の尊富士に負けるわけにはいかないはずです。気持ちの入った豊昇龍は強いので、豊昇龍が勝つ可能性も高いです。その場合は、優勝決定巴戦の可能性も大きくなります。いずれにしろ、どんな千秋楽を迎えるのか、非常に楽しみです。

52号(2025.1.23)今後の展開を占う

 12日目が終了して、金峰山が2敗になり、3敗に豊昇龍、霧島、王鵬、尊富士という非常に面白い展開になってきました。さすがに4敗までは落ちないと思うので、この中から優勝力士は出るでしょう。明日の13日目はこの5人がまったく直接対決をしません。明日は5人とも勝つ可能性があります。金峰山は琴桜とですが、琴桜は金峰山にとって突き押しのターゲットにしやすい相手です。琴桜は絶不調ですし、金峰山に分があると予測します。豊昇龍は大の里で難敵ですが、ここで豊昇龍に負けてもらったら面白くないので期待を込めて勝つと予想したいと思います。霧島は最初の3日間で今場所は大負けをするだろうと思ったのに、4日目から9連勝中です。動きの良さと力強さが戻ってきました。今の調子なら、明日の高安には問題なく勝つでしょう。王鵬は宇良。ここが一番厳しい気がします。宇良の動きに王鵬は攪乱されそうです。土がつくとしたら、王鵬かなと思います。でも、残り2日を面白くするためにはなんとか勝ってほしいものです。今日の大栄翔のような戦い方をすれば宇良は料理できるのですが、王鵬は大栄翔より大型なので、宇良の低さで飛び込まれそうな気がします。尊富士は阿炎ですので、ここも危ないですが、64で尊富士と期待したいと思います。

 明日の結果が出てから14日目の取組編成はされるでしょうから、14日目以降の展開を予想するのは厳しいのですが、この5人でまだ取組がないのは、金峰山は霧島と王鵬なので、この2人との取組が組まれるでしょう。霧島はあとは尊富士とやっていないので、その取組も組まれることでしょう。尊富士は豊昇龍や王鵬ともやっていません。14日目は豊昇龍と尊富士、霧島と金峰山、王鵬は豪ノ山か正代あたりでしょうか。千秋楽まで3敗を守っているのは豊昇龍と霧島、それに金峰山ではないかと思います。金峰山は今2敗ですが、14日目に当たるであろう霧島には負けそうな気がします。王鵬も残っていたら面白いですが、ちょっと難しそうな気がします。千秋楽は、豊昇龍は琴桜と、霧島は尊富士、金峰山は王鵬という取組になるのではないかと思います。3人とも勝って巴戦の優勝決定戦というのが見てみたいですが、そううまくは行かないかな。いずれにしろ、明日から3日間が楽しみです。

51号(2025.1.19)今場所後の横綱はないですね

 豊昇龍が正代に負けて2敗になってしまいました。作戦失敗とかではなく、ただただ正代が強かったです。大関に上がる頃の正代みたいでした。しいて言えば、今場所の豊昇龍は突っ張って前に出る力が強くなり、正代も弾き飛ばせると思ったのでしょうが、真正面からだけ攻めようとすると、正代はべらぼうに強い力士だったんだというところが、豊昇龍の計算違いだったのでしょう。まあでも正代が強かったので仕方ありません。それにしても、昨日全勝の王鵬に勝ち、これでこのまま乗っていくのではと思われた豊昇龍が2敗してしまったため、このままでは行かなくなりました。今後の対戦相手に豊昇龍がすべて勝てる確率は低い気がします。1〜2敗はしそうな気がします。万一1敗で止めて、123敗で優勝しても、横綱昇進は見送られると思うので、どうやら今場所後の横綱昇進はなくなったと見た方がよさそうです。

 優勝争いは、全勝が金峰山1人、1敗が千代翔馬と尊富士という平幕力士ばかりが上位にいますので、どうなるのか予想がつかないです。明日、金峰山と尊富士が直接対決しますが、この一番で勝った方は優勝争いに絡んでくる気がします。優勝経験を持つ尊富士有利と見る人が多いと思いますが、今場所の金峰山の突っ張りは馬鹿になりません。今日の玉鷲との勝負でも立ち合いは完全に金峰山が勝っていました。尊富士がスピードで優りふところには入れればもちろん尊富士のものですが、まともに金峰山の突っ張りを喰らったら、尊富士も飛ばされるかもしれません。いずれにしろ、優勝争いは3敗くらいまで落ちていく可能性が高いように思います。

 あと、昨日書けなかったのですが、昨日のNHKの大相撲放送では、北の富士さんを振り返るという特集をやっていました。永久保存版にしたかったです。快活で洒脱でダンディーな、本当に魅力的な人でした。分野が全然違いますが、あんな風に生きられたらなと思いました。

50号(2025.1.17)照ノ富士引退

 ついに照ノ富士が引退しました。ご苦労様でしたという感じですね。最近の横綱たちはそろそろ引退せよというような勧告を受けてしまう人が多かったですが、照ノ富士は休場が多いにもかかわらず、そういう勧告はされなかったし、ファンも暖かく見守っていた気がします。それは、彼が膝に大けがをして大関から序二段まで落ち、そこから復活し、膝や腰が痛いにもかかわらず、15日間出場すればほぼ毎回優勝するという実力を見せてくれることや、人間的にも立派だったからでしょう。怪我をする前、若くで大関になった時は、かなり生意気な力士で相撲っぷりも荒っぽい相撲でしたが、怪我をしてからどっしり構えて前に出る横綱相撲になりました。10回の優勝は立派です。引退会見を見ていても、この人はしっかり考えているなとわかります。きっとよい親方になるでしょう。

 話は変わりますが、昨日平幕5連勝力士の1人だった金峰山のことを書き忘れました。今日も勝って、王鵬、千代翔馬とともに6連勝でトップを走っています。金峰山もなかなか強いです。あの重い突っ張りは威力があります。尻の大きさからも足腰がしっかりしているのがわかります。首を痛めてもうひとつ成績が伸びない場所も多かったですが、素材としてはこの力士も幕内上位、三役の常連になってもおかしくないです。ただ、まだ突っ張りの回転が遅いので、機敏な力士には翻弄される可能性が高いです。このまま勝ち続けて上位と当てられるとさすがに負けが込んでいくとは思いますが、今場所はまあまあの成績は残すでしょう。

 王鵬への期待は日々増して来ています。顔や体形はおじいさんの大鵬にもよく似ているのですが、最近の相撲っぷりは激しい突き押しが得意だった父親の貴闘力によく似てきています。貴闘力よりよい体をしているので、大関以上も期待できるかもしれません。明日もしも豊昇龍を破るようなことがあれば、今場所の優勝候補と言われるでしょう。豊昇龍が勝てば、豊昇龍中心の優勝争いになりそうです。13勝以上で優勝したら、照ノ富士が引退したこともありますので、横綱昇進となりそうです。明日は今場所の行方を占う大一番となりそうです。

49号(2025.1.16)今後の展開を予測する

 5日目まで終了しましたね。琴桜は4敗で横綱どころか勝ち越しが危ぶまれる状況になりました。大の里も進歩のないスピードだけの相撲にこだわり、土俵際で逆転負けするという相撲の繰り返しです。あれだけの体格があるのですから、しっかりつかまえてから料理するという相撲を覚えないと、いつまで経っても横綱にはなれません。他方、豊昇龍は41敗でまあまあの成績ですが、今日の熱富士のような大型力士や立ち合いの鋭い突き押し相撲の力士とこれからたくさん当たるでしょうから、このまま1敗を守れる可能性は低い気がします。もしも優勝できても123敗なら横綱昇進は見送られるでしょう。

 今場所は誰が優勝するかまったくわかりません。平幕で5連勝中の王鵬、千代翔馬、玉鷲は、なかなか強いです。王鵬、玉鷲の馬力は本物です。千代翔馬は中途半端な相撲なのですが、今場所はいつも以上に思い切りが良く足腰がしっかりしているので、思い切った技が決まります。まあそうは言っても非常に甘い大雑把な相撲ですから、このまま勝ち続けることはないでしょう。玉鷲は過去2回優勝していますし可能性はないわけではないですが、さすがに40歳。中盤以降は馬力が落ち、負けることもあるでしょう。大化けがありうるとしたらやはり王鵬かもしれません。本当に強くなっています。

 大栄翔、阿炎、豪の山といった馬力のある突き押し相撲の力士たちも1敗で調子がいいです。彼らも上位を破りさらに波乱を引き起こす可能性は高いです。大栄翔と阿炎は優勝経験もある力士ですから、勝ち続けても不思議はないです。尊富士も1敗ですが、優勝した時ほどの強さはないですね。というか、他の力士が彼のスピードに慣れて、とりあえず最初の勢いを止めれば、そこまで怖くないと思って相撲を取っている感じです。それなりには勝つでしょうが、優勝争いまではどうでしょうか。

 ということで、今の時点であえて優勝争いをしそうな力士を予想するなら、豊昇龍、阿炎、王鵬の3人をあげておきます。特に、王鵬の大化けに期待してみたいと思います。

 ああそうそう。それと、元貴景勝の湊川親方の解説を初めて聞きましたが、実に丁寧な解説で、かつ力士に敬意を持った喋り方で驚きました。現役時代の相撲とインタビューの喋りは魅力がなく、まったく応援していませんでしたが、解説者としてはいいなと思いました。また解説を聞いてみたいと思いました。

48号(2025.1.13)豊昇龍の調子が良さそうに見えるが、、、

 まだ2日目が終わったばかりなのでなんとも言えませんが、豊昇龍の調子が良さそうに見えます。確かに動きがいいし、無理な投げに走らず前に出る力が増しており、先々場所までの豊昇龍とは違います。ただ、初日はすっかり弱くなってしまった霧島、今日も曲者ですが小兵力士の翔猿ですから対戦相手に恵まれています。もっと立ち合いからの馬力のある力士が相手でも圧倒できるかどうかが試金石です。明日も若隆景ですから、立ち合いから一気に持っていかれることはなく、豊昇龍としてはありがたい相手でしょう。でも、こうやって連勝を積み重ねていくと気持ちの強い力士ですから、そのまま乗っていきそうな気がします。他方、琴桜は今日負けてしまいましたが、1敗したことよりなんか自信がなさそうに見えるのが心配です。場所前の稽古でも、豊昇龍の調子が良く、琴桜は悪かったそうですが、そのまま本場所に引きずっている感じがします。場所後に、豊昇龍だけ横綱昇進ということもあるかもしれません。まあでも、大型力士や立ち合いに馬力のある力士と当たってからですね。

 それにしても、霧島は弱くなりました。立ち合いの当たりがまったくなくなり相手を押し込めなくなりました。今場所は大負けしそうです。過去2度幕内優勝をしたのが信じられないほどです。やはり、首や手首がかなり痛いのでしょうか。今のような相撲しか取れないなら、もう三役にすら戻れなさそうです。他方、強くなったなあと思うのは王鵬です。去年も何回か書きましたが、足腰がさらにどっしりしてきて威力のある突き押しができるようになりました。今年は三役に定着し、新たな大関候補と言われるようになるのではないかと思います。

 今場所の幕内上位は横綱まで含めて力の差は小さいので、どっちが勝っても不思議ではないという、見る側としては非常に面白い取組だらけです。あと13日楽しみたいと思います。

47号(2025.1.12)令和7年初場所スタート

 新しい年の初場所がスタートしましたね。本コラムも1年ごとにまとめることとし、本日から「片の富士コラムPart2」として書いていきます。

 今場所の展望は初日が終わっただけなので、まだなんとも言えません。力士以外のことを書いておきます。まず先場所からNHKの専属解説者になった琴風さんが初日の正面解説者になりました。これからはかつての北の富士さんと同じように途中で2日ほど、そして千秋楽の解説をするのでしょう。北の富士さんの鋭さはないですが、優しさに満ちた解説で心地よくは聞けます。ただ、北の富士さんのように昔話をされても、私は琴風さんより年上なので知っている話ばかりになりますが、まあこれは致し方ないですね。初日と千秋楽はタッグを組むであろう舞の海氏とのやり取りも穏やかで悪くはないですが、北の富士さんと舞の海氏のように異なる意見を出し合うという感じにならないのが残念です。

 あとは立行司がようやくきちんとした庄之助と伊之助になったのがよかったです。ダメダメ行司だった式守伊之助――最後に1場所だけ木村庄之助にさせてもらいましたが――が定年になり、まっとうな木村庄之助と式守伊之助になり、土俵が締まりました。

 とりあえず、今日のところはこんなところでしょうか。今場所は琴桜と豊昇龍の両大関の綱取りがかかる場所として注目を集めています。2人がある程度勝ち続けていけばさらに盛り上がるでしょう。気になる力士についてはおいおい書いていきたいと思います。