片の富士コラム

Part3(2026(令和8)年版)

2026.1.25更新)

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<目次>

第99号 令和8年初場所総括2026.1.25

第98号 溜り席での観戦記(2)2026.1.23

第97号 溜り席での観戦記(1)2026.1.19

第96号 安易な「同体取り直し」2026.1.14

第95号 かばい手2026.1.12

第94号 令和8年初場所スタート2026.1.11

99号(2026.1.25)令和8年初場所総括

 安青錦の連続優勝で終わりましたね。素晴らしい精神力と体幹です。これで来場所は綱取り場所となりますが、個人的には来場所優勝してそのまま横綱になるという事態にならないことを願っています。というのは、今の安青錦だと12勝での優勝というのが一番可能性が高いのではないかと思いますが、13勝以上したことがない力士で横綱になった人はいないのではないかと思うからです。横綱は成績による地位の陥落はなく、不成績が続いたら引退しかなくなります。安青錦はまだ21歳です。あと10年は最低でも活躍してほしいので、そのためには13勝、14勝という成績をあげられる力士になってから、横綱になってほしいのです。そうは言っても、12勝でも連続優勝をしたら横綱に上げざるをえなくなります。ぜひそうならないように、来場所は両横綱のどちらかに頑張って優勝してほしいです。安青錦のファンゆえに、もう少し成長時間を彼に与えてほしいのです。

 さて、他の力士についても触れておきます。上位陣は、いろいろな人が語るでしょうから、あまり他の人が語らないような力士のことを書きます。まず、熱海富士ですが、今場所の後半は非常に良かったです。あの大きな体をしっかり活かしていました。ただ、これで彼が開眼したとはまだ思えません。琴勝峰が優勝した時もそうでしたが、調子のよい時はこんなに強いのに、次の場所になったらがらっと変わってまた元に戻ってしまうという力士がたくさんいます。熱海富士も最初に上がってきた時は今場所後半のような勢いの良い相撲で、このまま三役、大関を狙う存在になるのではと思わせたものですが、2年ほどぱっとしない状態に戻っていました。今場所は久しぶりにあの頃の相撲を思い出したという感じでしたが、また元の相撲に戻ってしまう可能性がかなりありそうな気がします。

 次に藤ノ川について。見ていて気持ちの良い素晴らしい相撲を取りますよね。来場所は横綱、大関と総当たりの場所となるでしょうから楽しみなのですが、彼の相撲はいつか怪我をするのではと心配です。特に、あの鋭い立ち合いはいつか首を痛めるのではと気になります。あの鋭い当たりからの出足で成り立っている相撲ですが、大丈夫かなと心配です。首を痛めたら、今のような相撲は取れなくなるでしょう。その時は、また違うタイプの技能派相撲に変わるのかもしれませんが、とりあえず怪我しないで、と祈っておきたいと思います。

 4人目は十両優勝した若ノ勝です。彼は何かをつかみました。鋭い立ち合いから、激しい突っ張りは本物です。体格もちょうどいい力士です。これから一気に伸びてくると思います。そして最後は序ノ口優勝の旭富士です。強い強い新弟子だと聞いていましたが、序ノ口なので相撲は見られないかと思っていましたが、今日の千秋楽に、同部屋力士との優勝決定戦をすることになったので、見ることができました。いやあ、本当に強そうです。この力士、一度も負けずに十両まで上がってくるのではないでしょうか。3月場所で序二段優勝、5月場所で三段目優勝、7月場所で幕下優勝、9月場所で十両に上がり、そこでも優勝し、もしかしたら11月場所でもう入幕しているなんてことも起きるかもしれません。まあそこまで行かなくても来年には幕内の上位から三役を伺う地位にいることでしょう。

 これから2年後くらいに、大相撲界はどんな勢力図になっているか、非常に楽しみです。

98号(2026.1.23)溜り席での観戦記(2)

 何やらかにやら忙しくこのコラムも更新が滞っています。すみません。場所の展開は安青錦の連続優勝に向かっている感じですね。明日の大の里に勝てば間違いないでしょうし、負けても千秋楽に当たるであろう琴桜には勝つでしょうから、悪くても優勝決定戦には進出するでしょう。明日の霧島と熱海富士の勝者が優勝決定戦に進出の可能性がありますが、どちらが出てきても、安青錦が有利ではないかと思います。というか、今の大の里の状態なら、明日も明後日も安青錦が勝ち、132敗の優勝の可能性も大きいのではないかと思います。

 さて、溜り席観戦記がほんのわずかしか書いていないので、せめてもう少し書いておきます。あの席ゆえにわかったことは、力士は控えに座る際に審判にきちんと挨拶して座るということです。幕下から見ていましたが、十両力士も幕内力士も基本的に、みんな頭を下げて座っていました。礼儀に厳しい世界なんだなと改めて思いました。

 それから、あの席からだとテレビで見るような視界ではないので、どんな取組みだったかがほぼ思い出せません。テレビで見ていた相撲に関しては、どんな一番だったか、かなり克明に思い出せるのですが、あの土俵間近からだとうまく記憶できません。どんな展開だったかはもちろん、誰と誰の取組だったかすら思い出せません。何度も見ていたら違うのかもしれませんが、初めての視界は、テレビの映像に慣れた人間には、うまく変換ができませんでした。まあでも、貴重な経験でした。

97号(2026.1.19)溜り席での観戦記(1)

 第94号に書いたように、7日目に溜り席で相撲観戦をしてきました。西方審判の斜め後ろで右に座っている力士のすぐ後ろというまさに砂かぶりの席でした。向正面に座っている方たちほど映りませんでしたが、時々テレビ画面に現れていたようです。千代翔馬と獅司の勝負が決まった時が一番映っていた時かと思います。本当は西方土俵入りの際にたっぷり映っていたのですが、たぶんNHKONEでは見られないと思います。一番目立っていたのは、BSで放送している時間でした。午後1時半くらいから、私は溜り席にいたのですが、他の席は埋まっていなかったので、普通に全景を映した時にもばっちり映っていました(笑)

 まあテレビに映ったかはこのくらいにして、あの席ならではの観察もいろいろしてきました。テレビではまったくわからないことがいろいろわかりました。審判の右側の力士のすぐ後ろの席でしたので、力士たちが何に腰を下ろしているのか興味深く見ていました。幕内力士以上は自分の名入りの分厚い座布団に座りますが、十両は共有の座布団です。このことは知っていたのですが、最後に驚いたのが、勝ち残りや負け残りで残る力士は、自分の座布団ではなく、十両力士が座っている共通座布団に替わることです。でも、考えてみると、なるほどそうせざるをえないんだなと理解できました。最後から3番目の取組が始まる時点で土俵下には2名ずつ力士が控えているわけです。勝負がついた際に、負けた力士は支度部屋に帰り、勝った力士は最後から2番目の取組をする力士に水をつけた後、勝ち残りとして残るわけですが、その時点でもう自分の座布団はなくなっているわけです。そこでその力士の座布団をまた持ってきてしまうと、次の取組で同じ方の力士が勝った場合、また座布団を変えなくてはならなくなります。これではバタバタになってしまうので、どの力士が残ってもいいように、共通の座布団を使うわけです。7日目の西方の場合は、最後から2番目の相撲で大の里が勝って勝ち残りになったのですが、大の里の座布団はあったのですが、西方力士で最後の一番に登場した伯乃富士に水をつけている間に、大の里の座布団が持っていかれ、共通座布団が置かれました。なるほど、こんなことを土俵下ではやっていたんだと興味深かったです。他にもいろいろありますが、少しずつ紹介することにしたいと思います。

96号(2026.1.14)安易な「同体取り直し」

 昨日のうちに書きたかったのですが、時間がなかったので翌日になってしまいましたが、書いておきます。昨日の3日目の相撲は後半戦で3つも物言いがつき、そのうち二番が同体取り直しになりましたが、審判部の安易な逃げの判断だという気がしました。まず、霧島と伯乃富士の勝負は、伯乃富士の右足親指が土俵外でついていたかどうかがポイントでした。ついていたら、その時点で霧島はまだ体がぎりぎり残っており霧島の勝ち、ついていなければ、そのまま伯乃富士の寄り倒しです。同体はないです。また、大の里と宇良の一番もビデオで見る限り、大の里が手をついた時に、宇良はまだ土俵についておらず宇良の勝ちです。大の里の手はかばい手ではなく、宇良の技で手をついたパターンですから、大の里の負けです。こちらも同体ではなかったです。

 取り直しにすると、観客が喜ぶので、審判部は判断をせずに「もう一番」に安易にしてしまいますが、間違っています。本当に同体の場合はいいですが、ちゃんとビデオも使って判断しているのですから、なるべく安易に取り直しにせずに、審判部として正しい判断を下してほしいものです。ちなみに、琴桜と若元春の一番は明らかに琴桜の勝ちで物言いをつけなくてもいい相撲でした。元稀勢の里の二所ノ関親方が手を挙げていましたが、判断力が甘いです。伯乃富士の足がでたかどうかも、目の前にいた二所ノ関親方がきちんと判断して主張できていれば、同体取り直しにはならなかったはずです。審判部もうちょっとしっかりしてほしいです。

 さて、本日4日目についても書いておきます。両大関と大の里に土がつき、横綱、大関陣がすべて1敗となりました。安青錦は前に負けた時とほぼ同じパターンで王鵬に負けました。強引な大きな相撲を取られるとまだ持っていかれますね。2日目の義ノ富士との一番も危なかったですし。しばらくは、こういう相撲にどう対処するかが安青錦の課題ですね。琴桜は一山本を舐めていた感じですね。組み止めた一山本はどうやっても簡単に料理できるだろうと思って、自分からまったく仕掛けませんでした。もう少し一山本の四つを警戒していたら左からおっつけるなり、まわしを切ろうとするなり、もっと攻めるべきでした。一山本は最近四つも磨いているので、琴桜の舐めすぎが敗因でした。大の里は腰高がなかなか治らないですね。うまく攻めている時は腰が下りますが、バタバタし始めると、すぐに腰高の悪癖が出てしまいます。これが治らないと、大横綱と呼ばれるところまでは行かなくなりそうです。

95号(2026.1.12)かばい手

 今日の安青錦と義ノ富士との一番は物言いがつきましたが、本来あれはつけなくていい物言いです。最近の審判たちは手を先についたかどうか、足が返ったかどうかとかで攻めていた力士を負けにすることがしばしばありますが、相手力士が技をかけていたならともかくただ単に少し遅く飛び出したとか倒れただけなら、その力士を負けと判断すべきです。今日の義ノ富士も技をかけたわけではなく、体は完全に宙に浮いていたわけですから、安青錦が先に手をついていても、あれは明らかにかばい手です。かばい手とか送り足――最近はほとんど見られなくなりましたが、つり出しの際に相手の体が土俵外に出ていた時に足を出す――とかをきちんと評価すべきです。そうしないと、土俵際で無理をして怪我する力士が増えてしまいます。今回は、ちゃんと安青錦の勝ちになったからまだいいですが、今後は攻めていた――技をかけた――力士を優勢として判断すべきです。

94号(2026.1.11)令和8年初場所スタート

 この大相撲コラムも3年目に突入です。今場所は、私にとって人生の思い出になる場所なので、どんな場所になるのか、いつも以上に興味津々です。初日は関脇、大関、横綱が番付通りに全員勝ち、穏やかなスタートとなりました。左肩の脱臼が心配された大の里も素晴らしい出足で一山本を全く寄せ付けませんでした。まだ初日なので予想するのは難しいですが、とりあえず上位陣がかなり引っ張ってくれそうです。

 そうそう、面白い思い違いをしました。東京場所では過去2場所の優勝力士の写真が飾られるのですが、先場所優勝した安青錦の写真に「安青錦新大関」と書いてあり、「ほう、新大関になるタイミングだとこんな表示になるんだな」と一瞬思ってしまったのですが、安青錦の下の名前が「新大(あらた)」でした。つまり、安青錦のフルネームに関取を意味する「関」がついていただけで、他の力士の表示と同じだったわけです。「新大」は安青錦が日本に来た時に最初に世話をして、安青錦が兄と慕う関大職員をされている山中新大氏の名前をもらったものです。また、私にとっては、私の名前と父親の名前から1文字ずつ使ってくれている嬉しい名前です。ということで、すぐ思い違いに気づきましたが、あの写真の表記を、「新大関」とまだ思っている人も結構いるかもしれませんね。

 ところで、なんで人生の思い出になる場所なのかというと、大変ありがたいことに、実は七日目に溜り席で相撲観戦をさせてもらえることになっているからです。まさか溜り席で相撲を見られる日が来るなんて想像したこともありませんでした。物心ついてからずっと相撲を見てきた大の相撲ファンにとっては、これ以上ない至福の時間となりそうです。観戦してきたら、またこのコラムで報告させてもらいます。